名古屋大学(名大)は8月26日、木星の形成により微惑星の衝突が引き起こされ、原始太陽系に降り注いだ溶融岩石の雨粒「コンドリュール」の起源を解明し、微惑星に含まれていた水が、コンドリュールの大きさと冷却速度を決定していたことを発見したと発表した。
同成果は、名大大学院 環境学研究科の城野信一准教授、イタリア・トリノ天文台のディエゴ・トゥリーニ主任研究員の2名の国際共同研究チームによるもの。詳細は、英オンライン総合学術誌「Scientific Reports」に掲載された。
多くの隕石には、カンラン石や輝石で構成される直径0.1~2mmほどの球状粒子コンドリュールが含まれる。岩石が何らかのイベントで加熱され溶融し、細かく分裂した上で、表面張力によって球形になったものと考えられている。その内部組織の分析から、冷却速度が1時間あたり10度~1000度であることが判明しており、太陽系の形成開始から100万年~300万年後に形成されたと見積もられている。
コンドリュールは、多いものでは隕石の体積の80%以上を占める場合があり、その高い体積比率と形成時期から、惑星形成時の原始太陽系で普遍的に発生したイベントによって形成されたものと推測されている。しかし、そのイベントの詳細は不明だったことから、研究チームは今回、木星の形成に着目したという。
木星は地球の約320倍の質量を持つ、太陽系最大の惑星だ。その巨大な重力によって、ひとたび木星が形成されると、周囲の微惑星(惑星のもとになる、直径100km~1000kmほどの天体)の軌道は大きく変化し、相互に高速度で衝突するようになる。この高速衝突により、岩石は溶融すると考えられる。
この状況の数値シミュレーションが行われ、衝突が発生する時期と生成する溶融岩石の量が求められた。その結果、太陽系の形成開始から180万年後に溶融岩石生成のピークが現れ、その前後100万年ほどの間に生成されることが明らかにされた。これは、コンドリュールの形成年代の分布と整合する結果である。
さらに微惑星の中には、水や有機物といった揮発性物質を含んでいたものが存在した可能性が高い。このような微惑星が高速衝突すると、衝突による加熱で水が水蒸気に変わり急激に膨張する。高速で膨張するガスは溶融岩石を分裂させ、同時に膨張によって温度が低下する。そこで次に、この膨張の数値シミュレーションがさまざまな条件で実施された。その結果、分裂後の粒子の直径と冷却速度の範囲が、これまでの計測結果をよく再現することが判明したのである。
惑星は、微惑星が衝突・合体を繰り返すことで形成されたと考えられている。つまり、微惑星の衝突は惑星形成過程で頻繁に発生していた可能性が高い。また、微惑星の一部には水や有機物が含まれていた可能性が非常に高い。今回の研究により、こうしたことから、コンドリュールの形成は惑星形成に伴う必然的な副産物であることが明らかにされた。
今回の研究により、コンドリュールの大きさと冷却速度、衝突する微惑星の大きさと衝突速度の関係から、それぞれのコンドリュールを生み出した微惑星の大きさと衝突速度を推定できるようになった。今後、さまざまな年代に形成されたコンドリュールを解析することで、時間と共に微惑星の大きさと衝突速度がどう変化したのか、ひいては太陽系における惑星形成の歴史に迫ることが期待できるとしている。

