半導体材料の市場調査/アドバイザリー会社のTECHCETが、シリコンウェハ(Siウェハ)および半導体製造用シリコン/セラミックス/石英部材(主に半導体製造装置用パーツ)市場の2029年に向けた予測を発表した。

今後も成長が続くウェハ市場

それによると、2025年のSiウェハ出荷量は前年比5.4%増の130億7600万平方インチ、売上高も同6.7%増の136億ドルと予測されるという。AIニーズによる300mmウェハの出荷量が同7.0%増と伸びることが大きな要因で、TECHCETによると2024~2029年の年平均成長率(CAGR)は、出荷量が6.0%、売上高が7.2%と予想されるとする。

  • 2024年および2029年のSiウェハ市場予測

    2024年および2029年のSiウェハ市場予測 (出所:TECHCET)

ただし中国が政府の自給自足政策により、世界のウェハ生産能力に占める割合を拡大させており、世界中で競争圧力と価格圧力を高める要因となっているという。そのため、小口径ウェハの淘汰が進む可能性があるとするほか、国際貿易摩擦、関税、不公正な商慣行の疑惑がウェハサプライチェーン全体でのコスト上昇と利益率の圧迫の脅威となっているとする。

2025年のシリコン部材市場は約8億ドル規模に

2025年のシリコン部材(パーツ)市場は、同3.6%増の7億9100万ドルと予測している。内訳としては、新規向けが同6.5%増の2億3800万ドル、交換向けが同2.4%増の5億5300万ドルとしており、2024~2029年のCAGRは4.3%としている。

  • 2024年および2029年のシリコン部材売上高予測

    2024年および2029年のシリコン部材売上高予測 (出所:TECHCET)

成長の背景にファブの拡張、装置のリプレース、プロセスの改善などがあるとするほか、政府支援による半導体投資やAIなどの継続的なイノベーションも後押し要因となるが、貿易摩擦の激化がコストと供給リスクをもたらす可能性があるとTECHCETでは指摘している。

まだら模様のセラミックス部材市場

セラミックス部材市場は、成長が見られる地域と回復を待つ地域があるまだら模様の状態だとTECHCETは指摘している。地政学的な要因と関税の影響で、現地調達への関心が高まり、小規模な地元サプライヤが多国籍企業と競争する機会が生まれ、特に中国では国内の半導体製造業者が地元企業からの調達に意欲的であるという。

2025年の市場は同4.9%増の27億ドルと予測され、主なけん引役はCVD-SiCの同7%増のほか、AlNの同5%増、Al2O3の同4.8%増などを挙げている。

  • 2024年および2029年のセラミックス部材市場予測

    2024年および2029年のセラミックス部材市場予測 (出所:TECHCET)

今後は、先端パッケージングへの応用がSiC需要のけん引役となると見ているほか、レーザースパイクアニールなどの高温熱処理プロセスならびに先端パッケージ向けチップボンディングにおけるバルクSiCの増加も期待されるとする。ただし、イットリアなどの特殊コーティングの成長が今後の交換部品市場の成長を鈍化させる可能性があるともしている。

堅調な成長が期待される石英部材市場

2025年の石英部材市場は堅調で、2024年から2029年のCAGRは7%としている。

  • 半導体製造用石英部材の2024年(実績)および2025年と2029年(予測)の売上高

    半導体製造用石英部材の2024年、2025年、2029年の売上高予測 (出所:TECHCET)

先端ロジックや3D NANDなどがけん引役となっていることに加え、中国でのローカライゼーションへの取り組み活発化などが後押し要因となるとするが、主要原材料サプライヤによる値上げのサプライチェーンへの影響に注意する必要があるともしている。