2025年の半導体材料市場は700億ドル規模の予想
半導体材料市場調査会社のTECHCETによると、2025年の半導体材料市場は前年比約6%増の700億ドル規模となるとみられるという。AI関連需要がウェハ投入量を押し上げ要因となり、半導体材料市場は今後、年平均成長率(CAGR)4.5%で成長し、2029年には870億ドル超に到達すると予想されるともしている。
2025年は、前工程(FEOL)向けのプロセス材料がけん引役となり、中でもALD/CVD、石英、CMP補助剤、金属めっき化学薬品はそれぞれ9~10%程度の成長が見込まれるとする。
,A@2029年までの半導体材料市場のカテゴリ別売上高推移予測|
また、2025年下半期ならびに2026年は米中間の地政学的緊張の影響を受け続けることが予想され、技術、特定の材料、半導体製造装置に対する輸出規制強化が懸念されるが、AIの進歩に伴うコンピューティング、自動車、モバイルなどの市場の回復もあり、半導体市場の成長が期待されるため、上半期停滞気味であった民生用電子機器、PC、自動車セクタも下半期には成長が見込まれ、関連材料市場も年間で8~10%増と予想されるとしている。
シリコンウェハは2025年に140億ドル規模に
TECHCETによると、2025年のシリコンウェハ市場は前年比3.8%増の約140億ドルと予測されるほか、出荷量(面積)も、在庫水準の是正と半導体生産の回復に伴う受注活動の改善により、同5.4%増と伸びが見込まれるとする。また、2029年までのウェハ市場はCAGR6.4%と予測している。
また、2025年の半導体基板向けウェット洗浄用薬液市場は同約5%増と見込まれるほか、2029年までCAGRは5.8%で、2029年に70億ドルに達する見込みともしている。
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2024年および2029年のウェット洗浄用薬液の薬液別売上高。上から順に、硫酸、フッ酸、アンモニア、過酸化水素、リン酸、塩酸、硝酸、イソプロピルアルコール、アルミニューム・ポストエッチ残渣除去液、銅ポストエッチ残渣除去液、すべてのポストCMP洗浄液、総売上高 (出所:TECHCET)
ウェット洗浄薬液は半導体製造に不可欠な存在であり、おおむね緩やかながらも安定成長を続けているが、水面下では、世界的な貿易摩擦や物流の混乱によりインフラが圧迫されており、より地域に密着した供給の必要性が浮き彫りになっている。
スラリやパッドなどのCMP消耗材市場は2029年までCAGR8.6%で成長し、2029年には50億ドルを超す規模にまで成長することが予測されている。背景には3D NAND、GAAトランジスタ、バックサイドパワーデリバリによるプロセスステップの増加がある。
今後、さらなる先端プロセスへの移行や先端パッケージングなどの活用が進むにつれてCMPプロセスの複雑さが増していき、CMPの重要性が高まる見込みだが、新たに用いられる金属に対する環境や安全性、希土類研磨剤の調達に関する地政学的なリスクがサプライチェーンの懸念となる可能性があるとTECHCETでは指摘している。