自動車は横ばいも全体的な景気低迷で売上高が減少

NXP Semiconductorsは7月21日、2025年第2四半期(4〜6月期)の決算概要を発表した。それによると売上高は前年同期比6%減の29億2600億ドル、営業利益は同23%減の6億8700万ドル、純利益は同32%減の4億4500万ドルとなった。

  • NXPの2025年第2四半期業績概要

    NXPの2025年第2四半期業績 (出所:NXP)

また、事業部門別の売上高は、自動車が同横ばいの17億2900万ドル、産業&IoTが同11%減の5億4600万ドル、モバイルが同4%減の3億3100万ドル、汎用・インフラ&その他が同27%減の3億2000万ドルとなっており、売り上げの6割を占める自動車関連は踏みとどまっているが、それ以外の部門の減速が大きい。現状の半導体企業の業績は、NVIDIAやTSMCなど生成AI関連の恩恵を享受する業績好調な企業と、生成AIからの恩恵を受けない企業の2極化が進行している。

  • NXPの事業部門別業績

    事業部門別業績 (出所:NXP)

同社は、同四半期の主なトピックスとして「レベル2+からレベル4の自動運転向け第3世代イメージングプロセッサとして16nm FinFETプロセスを採用し、前世代比で最大2倍の処理能力を実現する『S32R47』を発表」、「Rimac Technologyと、高度な自動車ドメインおよびゾーン制御を実現するソフトウェア定義車両(SDV)アーキテクチャを共同開発。NXPのS32E2プロセッサを搭載することで、マルチアプリケーション環境における高性能で決定論的なリアルタイムのドメインおよびゾーン制御ニーズに対応」、「SDV向けの独自セーフティクリティカルシステムとミドルウェアを手掛けるTTTech Autoの買収を完了」の3点を挙げている。

また、同社は第3四半期のガイダンスとして30億5000万〜32億5000万ドル(同6%減〜横ばい)としているが、ガイダンス中央値は同3%減となっている。ただし同社の最高経営責任者であるカート・シーヴァース氏は「このガイダンスは、NXPの中核市場における新たな景気循環の改善と、自社固有の成長ドライバーの業績を反映している。競争力のあるポートフォリオを強化し、ハイブリッド製造戦略に沿ってウェハ製造拠点を調整することで、収益性と利益を牽引している」と強気の発言をしている。

主力顧客の自動車メーカーの停滞がNXPの業績に影響の可能性

米トランプ政権は、NXPの主要顧客である欧州自動車メーカーからの輸入車に25%の関税を課しており、自動車メーカーの利益を圧迫している。EU政府は、関税引き下げ交渉を行っているが見通しは明るくはなく、売り上げの過半を車載向けに頼るNXPの業績に影響を及ぼすことが懸念されている。

すでにNXPの主要取引先の1社であるVolvo Carは、同第2四半期決算にて、新モデルの開発遅延と米国による25%という関税負担の増大に伴う減損処理で、100億スウェーデンクローネ(約1520億円)の営業損失を計上したと明らかにしている。同社のホーカン・サミュエルソン最高経営者(CEO)は、EUが米国との相互関税交渉を行う中、「EUの対米自動車関税を10%に引き下げることで事態を解決すべきべきだ」と主張したと米国メディアが伝えている。また、独メルツ首相は、欧州と米国が互いに同数の輸入自動車に対する関税を免除する内容を盛り込んだ貿易協定の締結をすでに提唱している。

Volvoは米国による関税政策の回避に向けて現在、スウェーデンで製造している乗用車の一部を米国工場に移管する準備を進めているという。