NVIDIAが中国市場向けにAIチップの販売を再開する。7月14日、NVIDIAがブログで発表した。AMDも再開の見通しを明らかにしている。

6月には売上予測に中国市場の数字を除外すると発言したフアン氏

中国のAI開発能力の抑制を目的とした米ドナルド・トランプ政権にとって、大きな方針転換となる。

NVIDIAはこれまで、米政府の対中輸出規制により、高度なAIチップを中国に輸出できない状況にあった。14日のブログで、同社は米政府当局者より「NVIDIA H20 GPU」の販売申請を再開しており、米国政府からはライセンスが承認される見込みとなっている。

H20チップは規制に準拠すべく高度ではないバージョンとして開発された。トランプ政権は4月に規制を強化し、許可なくH20の対中販売を禁止していた。この許可が降りた格好となる。これにより、NVIDIAは今年の売上高に数十億ドルを追加できる見込みだとBloombergは報じている。

NVIDIAは輸出ライセンス要件の影響を受け、5月末に発表された2026年度第1四半期の決算は売上高が前年同期比69%増の441億ドル、営業利益は同2%増の216億ドル、純利益は同26%増の188億ドルだったが、H20の輸出規制の影響で引当金などの費用がかさみ、営業利益・純利益ともに過去最高は更新できなかった。

また、CEOのジェンスン・フアン氏は「中国市場の重要性を過小評価することはできない。中国は世界最大のAI研究者がいる」などとし、暗に米国は対中AI規制を見直しする必要があると主張していた。さらに、6月中旬に開催した自社イベントの「GTC Paris」で米CNNのインタビューを受け「今後のNVIDIAのSales Forecastから中国市場は除外する」という発言もあった。

一方、昨年にCEOのLisa Su氏が「今後のターゲットをNVIDIAとする」と宣言し、同社を猛追するAMDも米商務省から同様の承認を受けており、販売許可が承認され次第、MI308チップの中国向け出荷を再開する計画だという。