米国半導体工業会(SIA)は7月7日(米国時間)、2025年5月の世界半導体売上高(3カ月移動平均)が前年同月比27.0%増、前月比3.5%増の590億ドルとなり、単月売上高として過去最高を更新したことを発表した。

けん引した地域は北米市場で、前年同月比45%増としている。背景にはAIデータセンター需要があるとみられ、SIA社長兼CEOのジョン・ニューファー氏も、「5月の半導体売上高は引き続き好調で、前月をわずかに上回ったほか、前年同月比では大幅に上回った。半導体市場の成長は、北米およびアジア太平洋地域/その他地域における堅調な需要に牽引されている」と北米の伸びが大きいことを語っている。

  • 過去20年間の半導体月間売上高および前年同月比成長率の推移

    過去20年間の半導体月間売上高および前年同月比成長率の推移 (出所:WSTS集計データに基づきSIA作図)

国・地域別に同月の売上高を見ると、前年同月比では米州が45.2%増、アジア太平洋地域/その他地域が30.5%増、中国が20.5%増、日本が4.5%増、欧州が4.1%増となっているほか、前月比でも米州が0.5%増、アジア太平洋地域/その他地域が6.0%増、中国が5.4%増、日本が0.2%増、欧州が4.0%増と、すべての国・地域で増加している。

先端製造投資税額控除税率の35%への引き上げ法案に賛意

またSIAは7月3日(米国時間)、米国下院で「ワン・ビッグ・ビューティフル・ビル法(One Big Beautiful Bill Act)」が可決されたことを受け、同法の成立に賛同する声明を発表している。

この措置は、先端製造投資税額控除(AMIC)の税率を25%から35%に引き上げることで、SIAがかねがね要求してきた半導体産業の最重要税制優遇を推進するものであるとしている。また、同法には、IAが支持するその他の重要な措置も含まれており、外国由来無形資産所得の恒久的な控除の見直しや、国内研究開発費の全額控除の復活なども盛り込まれている。

SIAはこの声明で、「この税額控除は、トランプ大統領が掲げる、長期的に米国における先進製造業の確保と、米国半導体エコシステムへの持続的な投資促進という目標達成に不可欠である。これにより米国の半導体サプライチェーン全体にわたる民間投資の増加を促し、2032年までに米国国内の半導体製造能力を3倍以上に増強する軌道に乗せ、50万人以上の雇用を創出・支えると予測されている。強化された税額控除は、国内半導体エコシステムへの追加投資を後押しし、米国の国際競争力を高めるだろう。政権および議会と協力し、米国の半導体産業の復興の未来をさらに確かなものにしていくことを楽しみにしている」と述べている。

なお、2025年初めにクローディア・テニー下院議員(共和党)と超党派の共同提案者グループは、先進半導体投資クレジット(BASIC)法案を提出した。この法案は、AMICを従来の25%から35%に引き上げ、クレジットを2030年まで延長するものである。BASIC法案に基づくクレジットの増額は、7月3日に可決された包括的な国内政策パッケージに組み込まれている。