OKIが半導体工場向け化学分析サービスを提供

OKIグループのOKIエンジニアリング(OEG)は7月3日、7月4日付で群馬県高崎市にあるOKI 西横手工場に化学分析拠点「高崎ラボ」を開設し、半導体製造ライン向け化学分析サービスの提供を開始することを発表した。

  • 開所式の様子

    開所式の様子。左から、OEG環境事業部長の棗田次郎氏、OEG代表取締役社長の大場宏之氏、OKI西横手工場長の谷中真澄氏 (出所:OKI)

半導体製造では、プロセスの微細化ならびに高積層化の進展に伴うさまざまな材料が活用されるようになっている一方、クリーンルーム内の空気の汚染や製造工程で使用する薬液中への不純物の混入を防ぐための厳密な化学物質管理が求められるようになっている。しかし、そうした品質への影響は、主に半導体デバイスが製造された後の検査で判明するため、定期的な分析と異常検知時の迅速な復旧が不可欠となるものの、分析技術を自社で保有していない場合や、技術を保有していても維持管理コストが高いといった課題があり、外部委託を利用する企業が増えてきているという。

高崎市を中心に、信越地方の半導体工場のサポート も計画

今回、そうしたニーズを踏まえ、OEGでは半導体工場が集積する北関東地域に対応する形で、半導体品質に影響をおよぼす不純物に特化した化学分析サービスを開始することを決定したという。開設された高崎ラボでは、高度な化学分析技術を持つ専門技術者を配置し、半導体製品の品質維持に不可欠なクリーンルーム内の空気中微量化学成分(イオン成分など)の濃度測定や、製造工程で使用される酸やアルカリ、有機溶剤などに混入した不純物の分析を実施するとしているほか、対面での技術相談や試料の直接受け渡し、緊急対応など、地域密着型のサービスを提供することで、北関東地域の半導体工場の安定した製造とコスト削減に貢献するとともに、より高度な品質管理をサポートするとしている。

サービスの提供地域は、当面の間は高崎市および周辺地域の半導体工場を対象としており、将来的には半導体関連サービスも含めた設備の増強および、隣接する長野県や新潟県などへのサービス地域の拡大も図っていきたいとしている。ちなみに、高崎市にはルネサス エレクトロニクスの高崎事業所があるほか、長野県には富士電機などの半導体工場が、新潟県には小千谷市にJSファンダリ(元東京三洋電機のLSI生産拠点、その後、オンセミが取得後、2022年に独立ファウンドリ化)や、妙高市のタワーパートナーズセミコンダクターの新井工場(旧パナソニック新井工場)などがある。また、さらにその周辺の山梨県や茨城県、福島県などにも複数の半導体工場が点在している。