パイオニアの全株式をCarUXが取得
パイオニアは6月26日、スウェーデンのプライベートエクイティファンド(PEファンド)EQTが保有するパイオニアの全株式を、台湾のディスプレイメーカー大手Innoluzの子会社でスマートコックピットソリューションを手掛けるCarUXが取得することで合意したことを発表した。
これによりパイオニアはCarUXと協力して、Innoluxグループとして自動車の統合型コックピット(サウンドソリューションを含む)およびハードウェア・ソフトウェア統合強化に焦点を当てた開発で協業を推進し、自動車業界および消費者の変化するニーズに対応することを目的とした包括的な製品ラインアップと顧客体験の提供を目指すという。
パイオニアの代表取締役社長 兼 社長執行役員である矢原史朗氏は、今回のCarUXによる同社の株式取得について、「“未来の移動体験を創ります”という当社のビジョンを推進していくにあたり、CarUXが新たな株主になることを大変喜ばしく思います。CarUXは車載向けスマートコックピットディスプレイおよびソリューションに関するグローバルな知見と実績を有しています。CarUXと共に、業界に前例のない統合型の価値製品を提供できると信じています。また、これまでのEQTのパートナーシップに感謝するとともに、今後はInnoluxグループのチームと協業してさらなる成長を実現してまいります」とコメントしており、未来の自動車の価値向上に向けた取り組みをさらに進めていくことを強調している。
統合型スマートコックピットサプライヤーを目指すCarUX
また、InnoluxおよびCarUXも、この買収について、CarUXの製品と技術的な能力を拡大するだけでなく、Innoluxが自動車ディスプレイソリューションを超えた統合型スマートコックピットサプライヤーへの積極的な移行を象徴するものであると説明しており、CarUXとパイオニアの強みを組み合わせることで、イノベーションを推進し、顧客価値の創造につなげていくとしている。
なお、売却額は11億ドル(約1600億円)とされ、取引は所定の条件および関係当局の承認を経て、2025年第4四半期(2025年10月~12月)までに完了する予定だという。
CarUXは、ジャパンディスプレイ(JDI)のeLEAPを車載ディスプレーとして活用することも検討するなど、自動車の価値向上に向けた動きを加速させており、今回のパイオニア買収により、CarUXはパイオニアが培ってきたオーディオ/スピーカー、カーナビなどの技術を活用することが可能となる。