Rapidus(ラピダス)は6月23日、シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェア(シーメンス)との間で、2nm世代以降の半導体設計・製造プロセスにおける戦略的コラボレーションを締結したと発表した。

PDKの共同開発を通じ高品質な国内開発・製造体制構築へ

世界最先端のロジック半導体の開発・製造を目指すRapidusは、設計、ウェハ工程、3Dパッケージなどのサイクルタイム短縮サービスの開発・提供による新産業創出を目指しており、北海道千歳市内の拠点にて前工程分野における製造装置の設置を完了し、4月1日よりパイロットラインの立ち上げを開始。また後工程分野では、同市内のセイコーエプソン千歳事業所内に設置した「Rapidus Chiplet Solutions」への製造装置導入を開始しており、量産化技術確立に向けたパイロットライン構築が進められている。

次世代半導体の開発に向けた動きが一段と具体化する中、Rapidusは、同社が掲げる“Manufacturing For Design(MFD、設計のための製造)”という概念の具現化を目指し、シーメンスとの協業を開始。シーメンスが提供する、半導体設計から製造に至るまでの物理検証・製造最適化・信頼性評価を高精度かつ効率的に実現する業界標準の検証ソリューション「Calibreプラットフォーム」を基盤としたPDK(Process Design Kit)の共同開発を行い、設計・検証のエコシステムを構築するとしている。

Rapidusはこの協業を通じたMFDの具現化により、顧客が設計した製品について、その製造初期段階から高い歩留まりを達成し、TATの短縮を実現していくとのこと。またRapidusと、シーメンスの一部門であるシーメンスEDAは、前工程から後工程までの設計・検証・製造フローを統合的に支える「リファレンスフロー」の構築にも取り組み、RapidusのRUMS(Rapid and Unified Manufacturing Service)における円滑な開発環境を提供するとした。

シーメンスのシーメンスEDA CEOを務めるマイク・エロー氏は今回の発表に際し、Rapidusとの協業は、シーメンスのEDAテクノロジーが新たな製造拠点に深く統合されることを意味する」とし、「リファレンスフロー構築を通じて、信頼性・拡張性・安全性に優れた半導体製造の未来を共に創り上げていく」とコメントした。

またRapidus 代表取締役社長兼CEOの小池淳義氏は、「シーメンスとの協業は、相互最適化、DMCO(Design-Manufacturing Co-Optimization)コンセプトを具現化するもの」とした上で、「最先端のファンドリとして2nm GAA(ゲートオールアラウンド)プロセスのMFDを実現することで、テープアウトまでの期間を飛躍的に短縮する」とコメント。同社はこの協業を通じ、設計から製造までを一貫して国内で完結できる体制を整えるとともに、設計データのセキュアな管理、製造トレーサビリティの確保、EDAソリューションとの連携による情報漏洩リスクの低減など、サプライチェーン信頼性の強化を進めていくとしている。