衰えないOLEDに対する需要

TrendForceによると、マクロ経済に対する不安定な見方が世界的に継続しているにもかかわらず、有機EL(OLED)モニタパネル市場は買い手と売り手の両方から依然として強気の見方が示されている模様だという。

同市場は2024年に前年比132%増という高い成長率を達成しており、この勢いが2025年も続くと予想されることから、TrendForceでも、2025年のOLEDモニタパネル出荷枚数予測を当初の280万枚から340万枚に上方修正し、年間成長率を40%から69%へと引き上げたとする。

  • 2023〜2028年のOLEDモニタパネル出荷数量の数位と予測

    2023〜2028年のOLEDモニタパネル出荷数量の数位と予測 (出所:TrendForce)

パネル市場全体が米国の相互関税の影響を受けているが、OLEDモニタ分野は比較的その影響を受けておらず、引き続き力強い成長を続けている。その主な要因の1つは、ゲーム愛好家の間でOLEDモニタが広く受け入れられていることで、各ブランドはOLEDゲーミング製品ラインの拡充に注力している。これと並行して、韓国のパネルメーカーもOLEDモニタへの注力を強化している。

パネルメーカー各社もOLEDモニタパネル市場に期待

TrendForceは、Samsung Display(SDC)とLG Display(LGD)が依然としてOLEDモニタパネルの主要サプライヤーであると指摘しており、OLED TVパネル市場の成長が鈍化する中、SDCは戦略的重点分野としてOLEDモニタに軸足を移し、出荷量を拡大し、A5サイズ生産ラインの高い稼働率と収益性を維持することを目指している。

一方のLGDは、これまでLCD事業の損失に制約され、SDCとの積極的な価格競争に躊躇していたこともあり、当初、2025年の出荷目標を70万台未満と控えめに設定していた。しかし、顧客需要の急増とOLEDパネルの供給不足により、LGDは目標を80万枚に上方修正し、さらに100万枚まで引き上げる可能性もあるという。

需要面では、ASUSやMSIなどのゲーミングブランドがOLEDモニタの積極的なプロモーションを展開しており、5月に開催されたCOMPUTEXでは、両社とも500Hzリフレッシュレートの27インチQD-OLEDゲーミングモニタを展示した。両社のOLEDモニタパネルの需要は2025年に倍増すると予想されており、ASUSだけでも50万枚を超えると予測されている。ASUSはQD-OLEDとWOLEDモニタの両方を積極的に販売しており、WOLEDパネルの需要を押し上げている。これは、LGがこの市場セグメントでより積極的な姿勢を示す重要な要因となるという。さらに、中国の電子機器に対する買い替え補助金がゲーム需要を刺激し、地元のティア2ブランドがOLEDモニタの製品ラインを急速に拡大させていることも後押しとなっているという。

MacBook ProにもOLEDが搭載か?

Apple製品の情報メディア9to5Macによると、Appleは2026年に5年ぶりにMacBook Proの大幅なデザイン変更を計画しており、その一環として、MacBook Proに初めてOLEDディスプレイを搭載するという噂があるとしている。2024年のiPad Proでの導入に続き、OLEDへのアップグレードにより、MacBook Proシリーズの輝度向上により、より鮮やかな色彩が実現すると予想されるという。