FD-SOIを活用したICのセキュリティ強化を推進

仏CEA-Letiと仏Soitecは6月18日、FD-SOI技術を活用する形でICのサイバーセキュリティを強化することを目的とした戦略的提携を発表した。

FD-SOIは、チャネルと基板間の電気的絶縁により物理的な攻撃に対する耐性を有しているほか、低消費電力化が期待できるため、バッテリー駆動アプリケーションなどでの活用が期待されており、今回の提携は、そうしたFD-SOIの特性を活用する形で、物理的攻撃に対する固有の耐性を活用・拡張することで、セキュアエレクトロニクスの基盤プラットフォームとすることを目指すというもの。これが実現されれば、セキュリティ設計をFD-SOIデバイスに施すことが可能となり、障害検出や機密回路領域の分離などのカスタマイズ性を高めることができるようになるという。

実際にFD-SOIのチップを製造して検証

両者は、今回の取り組みの中核となるのが基板レベルから回路設計に至るまで、FD-SOIのセキュリティ効果を実験的に検証し、強化するための取り組みであると説明しており、このプロジェクトを通じて、自動車、産業用IoT、セキュアインフラといった重要な市場におけるサイバーセキュリティの需要の高まりに対応するための具体的なデータ、実践的なデモンストレーション、そしてロードマップのガイダンスを提供することを目指すとしている。

実際のFD-SOIデバイスの製造はGlobalFoundries(GF)が担当し、初期段階では既存のFD-SOI機能の活用に重点を置いた取り組みという形で進められるとしているが、長期的なイノベーションの基盤構築に向けて、将来的にはチップ裏面(バックサイド)に対する物理的および光学的な攻撃や侵入型の物理攻撃に対する保護機能の強化、半導体のハードウェアフィンガープリンティング用の改ざん防止機能と物理的複製不可能機能(PUF:Physically Unclonable Function)の搭載、新たな脅威を検出し、対抗するための動的な対応メカニズムなどの機能の実現も目指していくとしている。