低迷した2025年第1四半期のNAND市場

台TrendForceの最新調査によると、2025年第1四半期におけるNANDフラッシュサプライヤ5社を対象とした市場規模は、前四半期比24%減の120億2000万ドルと低迷したという。

背景には、NANDサプライヤに対する在庫圧力の高まりと季節的要因によるエンドマーケットの需要減退の影響があり、結果として業界全体の平均販売価格(ASP)は同15%の下落となったほか、出荷量も同7%の減少となったという。

また、同四半期末までに一部の製品価格は回復し、需要を押し上げたとのことで、TrendForceでは第2四半期について、エンドユーザーの在庫レベルが健全に戻りつつあり、NAND価格が底打ちから回復に向かうこと、米国トランプ政権の関税の影響を避けるために一部のユーザーが調達を前倒しさせることが見込まれ、市場全体としては前四半期比で約10%の増加となると予測している。

  • 2025年第1四半期の世界5大NANDサプライヤ売上高ランキング

    2025年第1四半期の世界5大NANDサプライヤ売上高ランキング (出所:TrendForce)

第1四半期は各社ともにマイナス成長

第1四半期の主要サプライヤの業績を振り返ると、トップのSamsung Electronicsは、エンタープライズSSD需要の低迷の影響から、売上高が同25%減となる42億ドルにとどまった。しかし、3月のNANDウェハ価格の回復が収益性の改善につながること、ならびにNVIDIAの新製品出荷の増加の恩恵から、今後の数四半期で売り上げは着実に回復していくことが予想されるという。

2位のSKグループ(SK hynixとSolidigm)は、季節的要因に伴う低迷と、30TB SSDの在庫処分という課題に直面した結果、出荷数量、ASPともに下落となった結果、売上高は同35.5%減の21億8660万ドルに留まった。

3位はMicron Technologで、同四半期は出荷ビット数の増加を達成したことにより、ASPの下落があったにもかかわらず、売上高は同11.0%減の20億2500万ドルと他社とりも下げ幅を抑えることに成功したことで、前回の4位からランクアップを果たした。

4位のキオクシアは、季節性の需要低迷による出荷数量とASPの下落が影響し、売上高はは同27.9%減の19億1600万ドルに留まる結果となった。そして5位は、Western Digitalから分離独立したSandiskで、売上高は16億9500万ドル。出荷ビット数とASPがわずかに前四半期比で減少した影響を受けたというが、同社はQLC製品の出荷量を増やすことで収益性を最適化する計画で、将来のプロセスアップグレードに必要な資金を確保し、長期的な競争力を強化することを目指す模様である。