半導体人材育成事業の初級/中級コースの受講生募集を開始
最先端半導体技術センター(LSTC)は5月30日、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクト「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/人材育成(委託)」における「最先端デジタルSoC設計人材育成」事業の初級ならびに中級コースの受講生募集を開始したことを発表した。
現在の日本の半導体産業は、国内でのロジック製造が40nmプロセスで止まっていたこともあり、半導体の設計や、半導体製品開発におけるアーキテクトが不足している。同事業は、そうした課題を解決することを目指した半導体設計人材育成プログラムとなる。
初級はEDAを使いこなすための9コースで構成
初級コースは、「最先端EDAツールのスペシャリスト育成コース」と銘打たれており、SynopsysやCadence Design Systemsの最先端の半導体設計ツール(EDAツール)を使いこなせるスペシャリストの育成を目的としたもの。半導体設計の各工程に合わせて9つのコースが用意されており、内容によってオンライン受講コースと対面実施によるコースに分かれる。オンラインコースの受講時間は140~190時間、対面コース(場所は横浜の日本ケイデンス・デザイン・システムズを予定)は13~23回の実施となり、それぞれ受講期間は約3か月間としている。
中級コースは28nmプロセス以降のロジック設計人材を育成
一方の中級コースは、「28nm以細のロジック半導体の設計人材育成コース」と銘打たれており、LSTCの組合員である東京大学、産業技術総合研究所が運用するAIチップ設計拠点(AIDC)の半導体設計・検証環境とSoC設計資産を活用することで、実践的な半導体設計技術者の育成を目的としたものとなる。
横断的な半導体デバイスの知識と実践的なEDAツールの使用スキルを身につける「実践コース」、半導体設計現場での課題解決力を身につける「問題解決コース」が用意されており、受講期間は、一部を除き1コースあたり約2か月間としている。また、オプションとして半導体業界全体を多彩な視点で見渡し、知見を深めることを目的とした教養講座「半導体設計特論」(オンライン)も用意されている。
受講は基本無料も、応募には事前テストの合格が必須
これらのすべてのコースについては基本無料(会場までの移動費やその他の経費などは自己負担)で受講可能。各コースの日程や内容、応募に関する詳細は募集サイトに掲載されているが、いずれのコースについても前提となる「大学工学部電気系等卒業程度の学力、回路システムに関する知識を有しているか」「Linux、Tcl/Tk、Perl、およびPythonなどの基本的なプログラミングに習熟しているか」を確認することを目的とした事前テストに合格したうえで受講申し込みができるようになることに注意が必要である。