ベルギーimecは5月7日、同社から2024年にスピンオフした新興企業のeyeoが、imec.xpand(imec傘下のベンチャキャピタル)とInvest-NL(オランダの政府系投資会社)が主導する形でQBICファンドやHigh-Tech Gründerfonds(HTGF)、ブラバント開発庁(BOM)が参加するシード資金より1500万ユーロを調達したと発表した。
eyeoは、イメージセンサの光感度を向上させる技術より、スマートフォン(スマホ)をはじめとするさまざまな分野でこれまで以上の画質、色精度、解像度、そしてコスト効率を提供することを目指した企業だという。
入射光の多くを無駄にしてきた過去のカラーフィルタ技術
イメージセンサ技術は数十年にわたって、画素にRGBのカラーフィルタを採用してきた。しかし、カラーフィルタが入射光の多くを遮ってしまうため、カメラの感度には制限があった。また、画素サイズも約0.5μm以下への微細化も制限されるという課題があった。
こうした課題に対して、スマホメーカーはカメラのセンササイズを大きくして、より多くの光を捉えることで、対応を図ってきた。センサの大型化で低照度性能は向上するが、カメラが大きくなるという問題があり、より小型で高感度なイメージセンサの実用化が求められていた。
垂直導波路による色分離でブレークスルーを実現
eyeoの創業者たちは、従来のカラーフィルタを不要としつつも感度を向上させることができる新しいイメージセンサアーキテクチャをimecに在籍中に考案した。
eyeoでは、この光を色に分割する垂直導波路技術を活用する形で、入射光をすべて効率的に捉えて利用するセンサを開発して、既存技術比で感度を3倍にすることに成功したとする。
さらに特定の色をブロックする従来のフィルタ(その後のソフトウェア処理で補間する情報)とは異なり、画素が完全な色データを受信できるため、解像度が瞬時に2倍になり、マシンビジョンなど精度が要求されるアプリケーションで、より鮮明で詳細な画像が得られるようになるという。
調達資金で商用化を加速
eyeoはすでに大手イメージセンサメーカーならびにファウンドリとの提携関係を構築済みとするが、今回調達した資金については、さらなる設計の改善、技術最適化による量産規模の拡大、評価用試作品の開発加速、市場投入に向けた商業パートナーシップ拡大などに活用するとしており、最初の評価キットを今後2年以内に一部の顧客向けに提供することを目指すとする。
なお、eyeoは、オランダのアイントホーフェンに本社を構えているほか、ベルギーのルーベン(imecの本拠地)に研究開発オフィスを構えているという。