2025年7月7日から10日までの4日間、東京・虎ノ門エリアを舞台に、“宇宙ビジネス”をテーマとしたアジア太平洋地域(APAC)地域最大級の国際カンファレンス「SPACETIDE2025」が開催される。10回目という節目を迎え、宇宙産業とともに“成長期”を迎えようとしている同イベントの開催概要について、主催団体であるSPACETIDEが事前説明会を実施。同団体の代表理事兼CEOを務める石田真康氏が登壇し、その狙いや意気込み、期待を語った。
Rocket Lab創業者や「ガンダム」富野監督などが登壇予定
かつて、世界各国の宇宙機関が競争を繰り広げていた宇宙開発市場。そのメインプレイヤーは、世界中で技術・サービス開発を進める数多の企業に移り変わり、宇宙空間は“ビジネスの舞台”として利用されるようになった。特に近年では、人工衛星などを活用したビジネスが広く展開されており、もはや宇宙産業はインフラの1つと言える状況となっている。
そんな宇宙ビジネスを主題とした国際カンファレンスとして開催されているSPACETIDEは、同イベントと名前を共にする団体であるSPACETIDEと内閣府宇宙戦略室が共催する形で、2015年に初開催。当時は宇宙ビジネスの黎明期どころか、“宇宙ビジネス”という語すらほとんど用いられていなかった中で、会場には約500名の参加者が集い、未来における宇宙ビジネスの発展に向けた交流の機会となった。
そして今年、SPACETIDEは10周年を迎える。過去最大の開催規模となる今回は、その会場も2か所に拡大。昨年も会場となっていた虎ノ門ヒルズフォーラムのメイン会場(Venue1)に加え、サイドイベントやビジネスミーティングで活用可能な会場として、VISION CENTER TOKYO TORANOMONがVenue2として会場となる。
また7月8日から開始される80以上ものセッションにおいては、国内外の宇宙市場における重要人物をはじめ、さまざまな登壇者が会場に集結。国内の宇宙スタートアップ企業としてIPOを果たしている企業のCEO4名によるパネルディスカッションや、日本の各社も活用する宇宙輸送手段を提供する米国企業・Rocket Labの創業者であるPeter Beck氏による講演が予定される。さらに、宇宙業界のVTuberとして活躍する宇推くりあ氏、「機動戦士ガンダム」の富野由悠季監督なども登壇することが発表されるなど、業界・業種を問わないさまざまなスピーカーが登場する予定だ。
10回目の節目は“次の10年を考える”機会に
事前説明会の中で石田氏は、第1回が開催された2015年ごろを振り返り、「米国では“New Space”が盛り上がり始めたころだったが、日本“宇宙ビジネス”という単語すらほとんど聞かれていなかった」と話す。しかしそれ以来、毎年のようにカンファレンスを開催するとともに、さまざまな取り組みを広げていく中で注目が高まっていったとし、2015年開催の第1回では参加者のほとんどが国内の宇宙関係者たちだったのに対し、現在では参加者数は3倍以上に拡大しており、その内訳も国内参加者と海外からの参加者がほぼ同じ割合になっていると説明した。
そして過去の10年を振り返るとともに、「今回のSPACETIDEでは“次の10年”について考えることを大切にしている」といい、これまで宇宙利用が順調に浸透していた関係者はもちろん、ライフサイエンス関連企業なども主体となっていくとする石田氏。「“限られた誰かのもの”だった宇宙が、これからは“すべての人類のもの”になっていく時代の中で、すべての人々が宇宙を利用する恩恵を受けられる時代を作っていきたい」と語り、今回のカンファレンスで宇宙ビジネスの可能性を解放していきたいとしている。