日本電信電話(以下、NTT)は5月8日、NTTデータグループの普通株式を金融商品取引法による公開買付により取得し、子会社化することを発表して記者説明会を開いた。現在NTTはNTTデータグループの株式の57.73%を所有しており、今回の公開買付により完全子会社化を目指す。

NTTの代表取締役社長の島田明氏は記者からNTTデータグループの子会社化のデメリットについて質問されると「デメリットは考えていない。メリットしかないだろう」と回答した。

  • NTT 代表取締役社長 社長執行役員 島田明氏

    NTT 代表取締役社長 社長執行役員 島田明氏(中央)

  • NTTグループとNTTデータグループのシナジーが期待される領域

    NTTグループとNTTデータグループのシナジーが期待される領域

公開買付の概要

NTTはNTTデータグループの株式の57.73%(8億967万7800株)を所有しており、今回の公開買付では8.94%(1億2531万4700株)を買付予定数の下限として設定している。買付価格は1株あたり4000円で、5億9281万968株を買付予定。

買付期間は5月9日から6月19日までの30営業日とし、買付総額は約2兆3712億円。公開買付によりNTTデータグループの全株式を取得できなかった場合には、株式売渡請求または株式併合によりNTTデータグループを完全子会社化するための手続きを実施予定だ。

公開買付に際し、NTTは国内金融機関5社からのブリッジローンにより資金調達を実施する。ブリッジローン調達後に順次長期資金に切り替える。財務健全性を維持しつつ、成長投資や株主還元もこれまで通り継続予定とのこと。中期的には、公開買付前の財務状況への回復を目指し、成長分野における投資、既存分野における収益性向上、NTTおよびNTTデータグループのシナジー実現に取り組む。

子会社化後の取り組み内容

NTTはNTTデータグループを完全子会社化することで、経営資源の投入を容易にし、迅速な意思決定を目指す。これによりNTTデータグループの事業強化を図り、企業価値の向上を図るとのことだ。

島田氏は今後の取り組みについて、グローバル事業のポートフォリオ強化、両社グループリソースとケイパビリティの連携強化、意思決定の迅速化とコスト競争力・顧客体験・従業員体験の向上の3点を挙げ、概要を紹介した。

グローバル事業のポートフォリオ強化においては、世界最大規模の需要があり最新技術が生まれる北米でマーケットを強化する。特に急激な市場拡大が見込まれるAI技術を活用したサービス強化を狙う。また、AIの需要増加に対応するデータセンターの拡大も図る。

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