全日空商事は、ニュージーランドのスタートアップ企業・Dawn Aerospaceと基本合意書を締結し、後者が開発するスペースプレーン「Mk-II Aurora」を活用した宇宙実証サービスを日本市場へ提供することを4月23日に発表した。
Mk-II Auroraは、2017年設立のDawn Aerospaceが開発中のスペースプレーンで、全長4.8mの機体にロケットエンジンを搭載し、マッハ3.5で高度100kmまで上昇して帰還するサブオービタル(準軌道)飛行が可能。2025年4月時点で58回の試験飛行に成功しており、最高速度マッハ1.1、到達高度は約25km(82,500ft)に達している。全日空商事では「開発中のスペースプレーンとして、世界でも有数の実績を誇る機体」だと説明している。
この機体に実証機器や観測機器を搭載することで、微小重力などの宇宙環境下における技術実証や研究開発、高高度の気象観測が行え、機体は安全に地球へ帰還するため、データ収集だけでなくペイロード回収もできるという。
1日に複数回という高い頻度で運航できるのも大きな特徴で、従来の宇宙実証に比べて低コストでフレキシブルにサービスを提供。「従来はコストや機会の制約により限られていた宇宙空間の利用が、より身近になり活用の幅が広がる」(全日空商事)とのこと。
想定する用途は、真空・微小重力・放射線などの宇宙環境下での技術実証や、高高度の気象観測、超音速飛行環境下での風洞実験など。価格については、実証内容に応じて個別に案内するとしている。
なおMk-II Auroraは、ニュージーランドを拠点として運用されているが、将来的には日本国内での運用をめざし、国内拠点の選定や制度環境面のフィジビリティスタディも進めるという。