HORIBAグループでサービス・分析事業を担う堀場テクノサービスは4月22日、自動車評価試験設備「Vehicle Test Cell(ビークルテストセル)」を堀場製作所の本社敷地内に開設し、同月から本格稼働を開始したことを発表した。
モビリティ開発における試験ニーズにワンストップで対応
カーボンニュートラル社会の実現に向けてモビリティの開発が多様化し続ける中、部品・素材メーカーに求められる水準の高度化や異業種・ベンチャーの新規参入により、車両試験から部品評価、さらにそれらデータにおける相関性の解析まで、各企業は膨大な対応を迫られている。
こうした背景からHORIBAは、内燃機関車の排ガス測定・触媒評価から、電気自動車の電力量消費率(電費)・航続距離測定、さらに小型モビリティの走行テストまで、幅広いモビリティ試験ニーズにワンストップで対応する評価試験設備として、Vehicle Test Cellを開設した。
同施設では、モビリティに関する幅広い分野の評価・測定に必要とされる長時間の連続走行に対応した装置やエンジニアを備えており、シャシダイナモ上での走行試験において人間に代わり優れた再現性を発揮するHORIBA独自開発の自動運転システムを活用することで、高精度のデータを効率的に蓄積できるとする。加えて、電動バイクや電動キックボードなどの性能試験にも対応可能で、モビリティ開発を総合的に支援するパイロットプラントとして、顧客に寄り添ったサービスを提供するとしている。
また堀場製作所の本社敷地内に設置されたVehicle Test Cellには最新機器を揃え高度な化学分析を行うラボ「Analytical Solution Plaza」を有する堀場テクノサービスの本社ビルが隣接。そのため、車両試験に用いた部品を抜き出して劣化度合いの評価を行うことも可能で、車両試験と部品評価の両データをその場でつないで解析する高付加価値ソリューションの提供体制を構築したとする。
HORIBAは、将来的にVehicle Test Cellを活用して、車両を構成するユニットごとのエネルギーロスを測定するアプリケーションの開発に取り組む予定とのこと。同社グループとして長きにわたって培った自動車評価試験のノウハウと受託分析の知見を最大限に生かし、多様化するモビリティ開発の効率化・加速化に貢献するとしている。