機械学習機能を搭載したMEMS加速度センサ

STMicroelectronics(STマイクロエレクトロニクス)は、機械学習、省電力化、105℃という高温動作の機能を兼ね備えた産業用MEMS加速度センサ「IIS2DULPX」を発表した。

同製品は、ホストプロセッサの負荷を軽減するセンサ内AIと、消費電力を最適化する自動自己構成機能を搭載しているため、搭載した機器メーカーによるメンテナンス・フリーかつバッテリ駆動スマートセンサノードの開発を、利便性の高いフォームファクタで実現できるというもの。

さまざまな産業分野にインテリジェンスを提供

これにより、よりスマートなデータ駆動型のオペレーションと意思決定をセンサ内で実現できるようになり、例えばアセットトラッキングやロボット、FA(工場自動化)、さらには産業用安全装置、ヘルスケア機器などの分野での活用が見込まれ、同社では例として、輸送中のアセットや商品のイベントトラッキングなどでの利用を挙げている。この場合では、同社の機械学習コア(MLC)がAIアルゴリズムを主体的に処理し、アセットを運ぶ輸送システムの種類と、落下や振動、傾斜、反転などのイベントを分類することで、品質保証を強化し、サプライチェーンプロセスを改善することができるほか、推論をセンサ内で直接実行することで、ホストプロセッサへの負荷を軽減できるため、センサのバッテリ寿命を延長することも可能になるとする。

また、産業機器やロボットアームなどのアセットに装着されたスマート状態モニタリング用センサとして活用する場合、過剰な振動、衝突、衝撃を検知できるようになるが、この場合において機器メーカーは、小型かつ低消費電力というメリットを活かし、コンパクトで長時間動作するセンサを小型軽量バッテリで構築することが可能になるともしている。

このほか、モニタリングシステムを産業用安全ヘルメットに組み込むことで、ヘルメットの装着状態や衝撃、転倒を検知して、事故防止や迅速な非常警報が可能になり、職場全体の安全性を高めることができるといった使い方に加え、機械学習コアやステートマシン(MLC/FSM)の内蔵および自動自己構成を備えているため、継続的なモニタリングを低消費電力で実現できるため、シンプルなバッテリ駆動アクセサリを追加するだけで、従来の安全ヘルメットをスマートヘルメットに進化させることができるようになるとする。

なお、同製品はすでに入手可能となっており、単価は1000個購入時に約1.57ドルとしている。