NVIDIAが、米国アリゾナ州のTSMCの工場(Fab21 P1)にてGPU「Blackwell」の製造を開始したこと、ならびにテキサス州ではFoxconnおよびWistronと提携してAIスーパーコンピュータ(スパコン)を生産する取り組みを進めていることを4月14日付けで明らかにした。
AIスパコン製造2工場は12~15か月ほどで量産体制が整う見込みとするほか、GPUのパッケージングやテストに関して、AmkorおよびSPILと提携。今後4年間で同社はTSMC、Foxconn、Wistron、Amkor、SPILとの提携を通じて、米国で最大5000億ドル規模のAIインフラのエコシステムを構築する計画で、同社の主要顧客である米国のIT企業に米国産AIスパコンの供給を目指すとしている。
中国向けAI半導体の輸出規制で最大55億ドルの損失見通し
また同社が4月15日(現地時間)に米証券取引委員会(SEC)に提出した文書より、米国政府から、香港およびマカオを含む中国およびその他の特定国(ロシアなど)向けAI半導体「H20」の輸出に新たなライセンスが必要となる(事実上の輸出禁止)という通知を受けたため、2026年会計年度第1四半期(2025年2月~4月)の決算で、H20に関連する在庫の引当金や購買契約違約に関する費用として最大約55億ドル(約7200億円)の費用を計上する見込みであると報告した。
米国政府は2022年よりNVIDIAのAI半導体の対中輸出を規制し、2023年には対象を拡大したが、そのたびに性能を落とした中国向け製品を設計して提供してきた。H20も、これまでは中国への輸出が認められてきたが、今回、それも規制対象となり、かつ輸出に際してのライセンス取得は今後、期限の定めなく要求されるとする通知を受けたという。
NVIDIAは中国市場を意識するも、連邦議会が調査を開始
このほか、NVIDIAのJensen Huang CEOが4月17日、中国の北京で中国国際貿易促進委員会の任鴻斌会長と会談したことを複数の海外メディアが報じる一方、米国連邦議会下院の中国特別委員会が、AI開発のために重要なチップや技術を故意にDeepSeekに流し、AI関連製品の輸出を制限する規則に違反した疑いで、NVIDIAへの調査を4月16日より開始したと欧米の複数メディアが報じている。中国DeepSeekが2025年1月にリリースした推論モデル「DeepSeek-R1」の開発に、輸出規制の対象となっているNVIDIAの高性能AI半導体が用いられた可能性が指摘されているためだという。