STMicroelectronics(STマイクロエレクトロニクス)は、高電力モータ制御アプリケーションに特化したコンパクトソリューションを提供するサーボドライバのリファレンス設計としてターンキープラットフォームとしても利用可能な「EVLSERVO1」を発表した。
同製品は、50mm×80mm×60mmという小型サイズながら3kWの電力を供給することができるため、産業用およびホームオートメーション、生活家電、サーボドライブ、電動自転車、サービスロボット、自動化ロボットなどさまざまなアプリケーションにおけるサーボモータを制御する機能を備えたもの。同社のインテリジェントモータドライバ「STSPIN32G4」を搭載し、1/2/3シャントを使ったセンサ付き/センサレスの3相ベクトル制御(FOC)や、先進的な位置制御またはトルク制御アルゴリズム、6ステップ制御モードを実行することができるほか、24V~48Vの定格バス電圧向けに最適化されたパワー段も内蔵しているという。
また、3相ブラシレスモータを最大2kW(ヒートシンクのみ使用時)、ファン併用時では最大3kWで駆動することができるため、回生モータブレーキの専用回路や差動モードでモータ巻線電流を検出する3シャント・トポロジなど、システム開発において柔軟に使用できる機能豊富なプラットフォームを提供することができるほか、ホールセンサ、インクリメンタルエンコーダ、UARTやSPI通信によるアブソリュートエンコーダの使用にも対応。さらに、内蔵CANトランシーバによる堅牢な通信によるシステムレベルの統合の簡略化なども可能だという。
搭載されるSTSPIN32G4は、9mm×9mmのVFQFPNパッケージで提供される高集積SiPモジュールで、3相ハーフブリッジ・ゲートドライバ、マイコン「STM32G4」、パワーマネージメント回路を搭載しており、パワーマネジメント回路は外部から単一電源での駆動が可能。外付けMOSFETを保護するためのVDSモニタや、ブートストラップダイオードが組み込まれているため、外付け部品の削減も可能だとする。
加えて、EVLSERVO1のパワー段はSTSPIN32G4とともにオン抵抗が最大3.2mΩのパワーMOSFET「STL160N10F8」を6対並列接続させることで、全体の電力密度を高めることができるほか、過電圧/過電流/過熱保護機能が内蔵されており、堅牢な動作が可能で、部品点数を最小限に抑えることができるとしている。
なお、同製品はすでに入手可能で価格は約168.00ドル。同社では、自社提供のGUIベースワークベンチ「X-CUBE-MCSDK」を使うことで、モータ制御のファームウェアパラメータを迅速かつ容易に設定でき、設計期間の短縮とコスト削減を図ることができるとも説明している。