日本製鉄は4月2日、台灣日鐵物産股份有限公司との協働を経て、同社の意匠チタンTranTixxii(トランティクシー)が台湾苗栗県竹南鎮に建設中の正覚寺玄奘文化宗教園区内主殿の瓦屋根に採用されると発表した。

  • 正覚寺主殿全景

    正覚寺主殿全景

採用されるチタンの概要

正覚寺玄奘文化宗教園区に建設予定の施設群の総床面積は約4万4761平方メートルに及び、合計11の建物が建設される計画。正覚寺の建設はすでに開始されており2025年夏にチタン瓦の施工が実施される予定で、2026年に竣工予定。

建物は大きく「宗教活動をする主殿」「食堂・多機能活動スペース」「文化センター(オフィス、教室、講堂など)」「寮など宿泊施設」という4つのカテゴリーに分かれており、チタンが採用される主殿はプロジェクトの象徴的建築物になる予定とのこと。

主殿は約4800平方メートルの本瓦葺きでチタンの使用量は約30トンとなり、浅草寺の約15トンや増上寺の約22トンを上回るチタン屋根を持つ寺院となる。使用されるチタン瓦は約5万3000枚。

主殿屋根は、台湾大手ゼネコンである潤弘精密工程事業股份有限公司の下で、弄奕國際有限公司(台湾台北市)が設計し、文化財修復も手掛ける齊瓦室企業有限公司(台湾新北市)および禾鉅金属科技有限公司(台湾高雄市)が細部設計・施工を手掛け、TranTixxiiが採用される成型瓦の加工は精密プレス加工を得意とする茂碩實業有限公司(台湾新北市)が対応する。

  • プロジェクト全景

    プロジェクト全景

主殿の外観

主殿の外観は唐式寺院の伝統的なデザインが採用されており、プロジェクトのもう一つの象徴的建造物である玄奘三蔵文化センターは、1300年前に唐王朝の玄奘三蔵法師がインドに行ったときに巡礼した当時インドで最大の寺院であり仏教の中心地であったナーランダ寺院をコンセプトにしている。

チタン素材はトランティクシーのAD03(ブラスト処理)意匠で、京都で多用されている淡路産いぶし瓦をオマージュした重厚感のある屋根に仕上げることが可能。

外観は重厚感があるが、チタンの比重は4.51で伝統建築に使用される銅の比重8.9の半分と軽量で、焼き瓦と比較すると浅草寺では葺き替え前の谷瓦は約15Kg/枚に対してチタン製谷瓦は0.1Kg/枚になっている。

屋根全体の重さ比較では、東京港区の増上寺において2021年に焼き瓦からチタン瓦に葺き替えが実施され、約500トンの焼き瓦屋根が約22トンのチタン屋根に置き換わっている。