プログレス・テクノロジーズ グループは3月28日、東京証券取引所グロース市場に新規上場したことを発表。同日には記者会見を実施し、同社で代表取締役CEOを務める中山岳人氏が、IPOの狙いや事業展望、初値に対する受け止めなどを語った。
“製造業DXのラストワンマイル”を担う企業がIPO
プログレス・テクノロジーズ グループは、製造業における設計開発領域に特化したデジタル化コンサルティング企業で、“世界を進める、一歩を。”をコーポレートスローガンに掲げている。2005年にプログレス・テクノロジーズとして創業して以来、国内の製造業に従事する人や企業との“共創”により、ものづくりの進化へと努めてきたという同社は、2020年に現在のグループ体制に移行。需要が急拡大する“製造業DX”市場に対し、さまざまなソリューションを提供してきたとする。
同社が顧客ターゲットとするのは、ものづくりの上流に位置する設計開発領域だ。製品の多様化や要求の高度化を背景に、各企業のリソース不足が顕在化する一方で一刻も早い製品リリースが求められており、効率的な製品開発プロセスが求められる中、製造に至る前の設計開発段階で試行錯誤を行い不具合検知のタイミングを前倒しする「フロントローディング」の価値が増大している。そのためプログレス・テクノロジーズ グループは、設計における課題の抽出から携わり、シミュレーションやデジタルツインの活用を通して設計開発の効率化に貢献。ツールの選定やプロセス設計、そして運用の定着など、製品開発プロセスの上流からDXを支えているとする。
また同社は、特化している業界として自動車・半導体・精密機械・医療・重工業の5つを挙げ、これらの最先端技術が集積する領域の設計開発サポートに注力しているとのこと。またAI技術やRPA(ロボティックプロセスオートメーション)、前出のデジタルツインなどを活用しつつ、製造に携わるすべての人が使いやすい作業環境の構築までをサポートするなど、“製造業DXのラストワンマイル”を担うのが役割だとし、国内では競合となる企業がいない未開のフィールドで製造業を支えているとしている。
またデジタルツイン技術を発展させ、特に大きな需要が集まる自動車関連市場をターゲットとした“デジタルツイン事業”も展開。試作車を用いたテストのために割かれていた多くのコストを削減するため、実寸サイズでの高度なテストが可能なドライビングシミュレータを導入し、グループ会社としてS&VLを立ち上げた。さらにサービス展開にあたっては、2024年7月29日、ドライビングシミュレータサービス専用施設「S&VL技術研究所」を群馬県太田市に開所しており、グループの礎となったソリューション事業からのさらなる事業拡大に向けて取り組みを進めている最中だ。
ドライビングシミュレータサービス専用施設「S&VL技術研究所」の概要映像(出所:プログレス・テクノロジーズ グループ YouTubeチャンネル)
初値は公開価格を1.5%上回る
そんなプログレス・テクノロジーズ グループは、3月28日に東京証券取引所グロース市場に新規上場。初値は1980円で、公開価格を1.5%上回った。市場からの評価に対し同社の中山岳人代表取締役CEOは喜びと安堵の表情を浮かべ、「我々は製造業において黒子のような存在だが、持っている技術はとても重要なもので今後確実に伸びると思っている」と語り、今後も事業の認知拡大に努めていくとする。
上場は6~7年ほど前から構想にあったといい、事業再編などを行いながら最適な形での実行を目指していたとのこと。そして今般、顧客からの期待が寄せられているのを実感する中で、より大きな形でさまざまな企業とのやり取りを進めることを目指してIPOに至ったとする。なお中山CEOは、当初のIPOの目的として“顧客とのリレーション強化・専門技術領域の深化”“優秀な人材の獲得・既存社員のモチベーション向上”“信用力の向上・認知の拡大”という3つの効果を挙げる。また今後は最優先事項として「企業価値の向上」があるとし、そのための投資をいとわないとした一方、「当面の間、配当という形をとることは考えていない」とした。
プログレス・テクノロジーズ グループの事業について「3~5年先の製品を顧客と共に作っている」と話し、「ここ最近のような激しい景気の変動影響はあまり大きくなく、爆発的な事業成長は期待できない代わりに、地道に進めば必ず拡大は続き“未来を顧客と共に作っていく”という目標を達成するため、技術開発を続けながら“売り物”となるソリューションを継続的に探索し、地道に事業を継続していくとしている。
