【財務省】政府対応が二転三転 新年度予算案は異例の再修正

医療費が高くなる患者の負担を抑える「高額療養費制度」を巡る石破茂政権の対応で、加藤勝信財務相に対する逆風がくすぶっている。2月下旬以降、野党だけでなく、自民・公明の与党内からも今年8月からの負担上限額引き上げ凍結を求める声が強まっていたが、財務省と厚生労働省の説明を重視した石破首相が当初予定通りの実施意向を表明し、与野党から猛反発を浴びる事態を招いたためだ。

 2月27日の衆院予算委員会で、加藤氏は「制度が将来にわたって持続可能であるためには一定の見直しは避けられない」と強調したが、この時点ですでに与党内からは今夏の参院選をにらみ、8月からの引き上げに難色を示す声が相次いでいた。

 結局、迷走を重ねた末に自民党は3月11日、8月からの引き上げ見送りに伴い、100億円程度の追加支出が生じることから、2025年度予算案を参院で再修正することを決めた。新年度予算案が衆院通過後に関連政策で政府対応が二転三転し、予算案の再修正を迫られるのは異例だ。

 一方、債券市場で長期金利が08年以来の高水準が続いていることについて、11日の閣議後会見で加藤氏は「マクロ経済全体にさまざまな影響がある」と指摘。

「長期金利の上昇で支払い利子や受け取り利子が増え、債券の評価が変動していく」とし、国債の安定消化に取り組む考えを示した。

 これに先立つ9日、加藤氏は国際女性デーに合わせて都内で開かれたイベントに参加し、女性経営者らと対談。「男女を問わずしっかり稼げる社会をつくる」ことが経済に重要だと述べた。記者会見など想定内の業務では安定感を発揮する加藤氏だが、政治家に求められる政党間の調整力や政策実行力に欠ければ、今後さらなる高みを目指すのは容易ではないだろう。

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