シーメンスは3月20日、同社のクラウドベースのオープンデジタルビジネスプラットフォーム「Siemens Xcelerator」において、マイクロソフトとの協業を拡大することを発表した。

Xceleratorは、IoT対応ハードウェアとソフトウェアをつなぎ、パートナーとのエコシステムやマーケットプレイスを含めた相互運用性の確保を可能とするデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速させるためのデジタル基盤。今回の協業拡大により、シーメンスの生産機械と製造現場のためのエッジソリューション「Siemens Industrial Edge」とマイクロソフトの統合IoTソリューション「Microsoft Azure IoT Operations」を組み合わせることで、ユーザーは生産ラインからエッジ、そしてクラウドへとシームレスなデータフローを可能にする製造業界向けの相互運用可能なOTおよびITデータプレーンを構築することができるようになるという。

具体的には、Siemens Industrial Edgeのデータレイヤは、仮想制御、低遅延のクローズドループAI、実行可能なデジタルツイン、生産ラインレベルの分析など、ミッションクリティカルな生産アプリケーションに効果的に対応することが可能で、これによりメーカーは応答性が高く、信頼性があり、柔軟で安全なアプリケーションを導入して、運用を最適化し、コストを削減し、稼働時間と品質を向上させることができるとするほか、Azure IoT Operationsと連携することで、産業生産者はOTデータをクラウドベースのデータ主導型のユースケースに簡単に活用し、サイト全体の生産を最適化し、高度な分析から洞察を得ることができるようになるという。

  • Siemens Industrial Edgeによって製造業者はワークロードと接続アプリケーションをデプロイおよび管理

    Siemens Industrial Edgeによって製造業者はワークロードと接続アプリケーションをデプロイおよび管理し、産業資産をMicrosoft Azureにシームレスに接続できるようになるというイメージ (出所:シーメンス)

また、Siemens Industrial Edgeは、重要なOTワークロード用の統一されたスケーラブルなコントロールプレーンも提供するため、ユーザーは生産レベルのユースケースを大規模に一元的に展開および管理できるようになるほか、一方のAzureはクラウドとオンプレミスのITワークロードの統合コントロールプレーンを提供するため、両方のインフラソリューションを組み合わせて使用することで、ユーザーはハイブリッド環境で必要な場所に迅速にワークロードを展開および管理し、実際の成果に集中するといった、AIやデジタルツインなどのデータやテクノロジーを活用して生産を合理化し、適応性を高めることが可能になるともしている。

  • Siemens Industrial EdgeをマイクロソフトのクラウドおよびAIサービスと組み合わせる

    Siemens Industrial EdgeをマイクロソフトのクラウドおよびAIサービスと組み合わせることで、生産ラインからエッジ、クラウドへのシームレスなデータフローを可能とするイメージ (出所:シーメンス)

さらに、製造業者はSiemens Industrial EdgeをAzure IoT Operationsと組み合わせて活用し、データをデータ管理と分析を簡素化し、AIに対応できるようにする統合データプラットフォームである「Microsoft Fabric」と統合することもできるとするほか、AIを活用して製品品質を向上させ、手作業による手戻りやコストを削減するために、生産者がSiemens Industrial AIポートフォリオとAzure Machine Learningサービスを組み合わせてクラウドでAIと機械学習のモデルをトレーニングし、エッジにより低遅延で実行することも可能となっているとする。加えて、Siemens Industrial EdgeからAzure IoT OperationsとAzure Cloud Servicesに提供されたデータを使用してデジタルツインを構築することで、製造現場での総合設備効率とショップフロアのバリューフローを向上させることができるほか、生成AI機能を備えた実稼働データを使用して、従業員のスキルと業務を強化することもできるようになるとしている。