ロームは、車載電子部品の信頼性規格「AEC-Q100」に準拠した高精度電流センスアンプ2種類計6製品を開発。2月から量産開始しており、当面は月産10万個体制で供給する予定あ。サンプル価格は1個450円(税抜)で、オンライン販売も順次開始。評価用ボードも準備している。

  • 上が48V電源系統向け「BD1423xFVJ-C」、下が5V/12V電源系統向け「BD1422xG-C」

電流センスアンプは、回路に流れる電流を間接的に測定するための増幅器。シャント抵抗器(電流経路に直列に挿入し、両端の電位差を測定することで回路の電流を検出するための抵抗器)で発生する微小な電圧降下を増幅し、測定可能な電圧信号に変換するもので、システムの制御や監視などに利用される。

新製品は、オペアンプとディスクリート部品を組み合わせた従来のオペアンプ回路構成をワンパッケージ化することで、省スペース化を追求。シャント抵抗器を接続するだけで電流を検出できるという。

また、2段アンプ構成を採用し、ゲイン精度を決定する抵抗をIC内部でマッチングさせることで温度変化の影響を抑えつつ、±1%の高精度で安定した電流検出を可能にする。

2段アンプのうち、入力段には、微弱な直流信号や低周波で微小な信号を精密に増幅するtきに使う、信号のオフセットやノイズを最小化するためのチョッパーアンプを装備。後段には、高精度が求められる測定や信号処理に適する、不要なノイズや誤差を自動補正する機能を備えたオートゼロアンプを使っている。

ノイズ対策用のRCフィルタ回路を外付けしても精度が維持されるため、設計工数の削減にも寄与するという。−14Vの負耐圧を備え、逆起電力や逆接続、負電圧入力に対応。電動車両(xEV)などで使われる48V電源に対応した+80Vの入力電圧品もラインナップした。

想定するアプリケーションとしては、48V電源系統向け「BD1423xFVJ-C」(−14V〜+80V対応)が冗長電源、補機バッテリー、DC-DCコンバータ、電動コンプレッサなど。5V/12V電源系統向け「BD1422xG-C」(−14V〜+40V)はボディDCU(Domain Control Unit)、ボディECU(Electronic Control Unit)など。

近年、車載市場では従来の5V/12V電源に加え、電動車両の普及に伴う48V電源で駆動するシステムの搭載が増えているという。さらに、多機能化が進むにつれ、さまざまなアプリケーションにおける監視・制御の必要性が高まるなかで、高精度な電流検出も重要視されている。

ロームの車載対応電流センスアンプは、これまで培ってきたアナログ技術で市場要求に応え、高精度かつ負耐圧、高耐圧に対応した電流検出を追求。電動車両など車載アプリケーションの安全性と信頼性向上に寄与するとしている。