laed=Yole Intelligenceによると、シリコンフォトニック集積回路(PIC)市場は、2023年の9500万ドル規模から年平均成長率(CAGR)45%で成長し、2029年には8億6300万ドル規模に達すると予測されるという。
仏Yole Groupの半導体市場調査会社Yole Intelligenceによると、シリコン基板上に光導波路、光スイッチ、光変調器、受光器などの素子を集積したシリコンフォトニック集積回路(PIC)市場は、2023年の9500万ドル規模から年平均成長率(CAGR)45%で成長し、2029年には8億6300万ドル規模に達すると予測されるという。
シリコンフォトニクスは誕生以来、技術的進化を遂げてきており、今後も用途の拡大とともに進化が続き、成長が続くことが期待される一方、今後は業界の統合が進む可能性も高いとする。用途としては、特にSOIとニオブ酸リチウム・オン・インシュレータ(LNOI)はデータセンター向け多用途プラットフォームのほか、通信分野、光学LiDAR、3DIC、量子コンピューティング、光ジャイロスコープ、医療用フォトニクスなどでの成長が期待されるとする。また、可視スペクトルへの拡張により、将来的にはさらに革新的な用途が開拓される可能性があり、市場の拡大が続くことが期待されるという。
目覚ましい進歩を遂げる中国
また、中国政府はシリコンフォトニス分野への支援を進めており、国内のイノベーションに注力する形で高速光通信の生産を拡大するなど、主要プレーヤーとしての地位を確立しようとしている。
例えばInnoLightはデータセンターやAIアプリケーション向け高速トランシーバーを備えたシリコンフォトニクスを開発しており、シリコンPIC搭載モジュールを300万個出荷している。Huaweiは、データセンターとネットワークにシリコンフォトニクスを取り入れ、学界と協力してこの技術を商用化している。Xphor、Centera Photonics、Accelink、Shijia Photons、Eoptolink、Hisense Broadbandなどの中国企業もシリコンフォトニックソリューションの改善に取り組むなどといった動きを見せている。
さらにシリコンフォトニクスに関する国別累積特許出願数は、2022年以降、米国に代わって中国がトップに躍り出ており、米国との差を広げる動きを見せている。
3つの材料プラットフォームが競合
高速光通信の将来はSOI、LNOIそしてInPという3つの主要な材料プラットフォームが個別に進化していくことが見込まれる。SOIに薄膜ニオブ酸リチウム(TFLN)やチタン酸バリウム(BTO)などの材料を統合すると、高帯域幅を実現できるが、その普及は2032~2033年ごろとYoleでは予測している。
またLNOIの薄膜構造は、モードの閉じ込めと駆動電圧の低減に優れているため、リニアプラガブルオプティクス(LPO)、リニアリタイムドオプティクス(LRO)、コヒーレントライトオプティクスなどの高帯域幅アプリケーションに向くが、初期コストと量産が障壁となる可能性があるとする。
そしてInPは、レーザーなどのアクティブな光コンポーネントをオンチップに集積し、アセンブリの複雑さを軽減できるが、高コストで生産が限定的という課題がある。ただし、2029年までにコヒーレントライトアプリケーションでSOIやLNOIの競合になる可能性があり、今後、これら3つのプラットフォームがそれぞれの強みを武器に競争していくことになるとYoleでは指摘している。