パナソニック傘下で空調機器などを手掛ける空質空調社は3月17日、IoT(モノのインターネット)を活用した空調制御機器を展開する独tado°(タド)に出資すると発表した。タドの第三者割当増資を引き受けて3000万ユーロ(約48億円)を出資する。また、パナソニック空質空調社の役員1人を含む社員の派遣を通じて、経営にも参画する考えだ。
パナソニックはヒートポンプ式温水給湯暖房機(Air to Water:A2W)事業を成長領域と位置付けている。A2Wは大気中の熱を集めて温水をつくり出し、建物に循環させて暖房するためのシステム。化石燃料を用いた暖房機器に比べてCO2排出量を抑えることができ、環境への負荷が少ないシステムとして、近年注目を集めている。
同社は2008年に欧州において、エコキュートやエアコンで培ったヒートポンプ技術をベースに開発した住宅向けA2Wの販売を開始した。そして2024年3月にはタドと業務提携契約を発表。2011年に創業したタドは、ドイツやイギリスなどを中心に欧州に約100万世帯の顧客を持つスタートアップ。2024年の売上高は1億ユーロ(約161億円)だった。
パナソニックが持つA2W技術とタドが持つスマートサーモスタット(天候や温度設定などに合わせてアプリなどで空調システムを制御する電子機器)が連携することで、室温、利用者の設定温度、天候、電気料金などあらゆる情報を基に、A2Wが作る温水の温度および水量を最適に制御できるようになる。これにより、最大約20%の消費エネルギーを削減につながるとしている。
また今回の資本業務提携を通じて両社製品・サービスの仕様を相互に開示する計画。さらに、利用者宅での稼働状況やフィールドテストなどのデータを分析することで、より高効率な運転制御を可能にする当社A2W専用のソフトウェアを共同開発する考えだ。これにより、2025年9月に予定しているアップデートを通じて最大約30%の消費エネルギー削減を目指すとしている。