パナソニック ホールディングス(HD)は2月4日、家電事業や電設資材事業などを手がける傘下のパナソニックを2025年度中に解散すると発表した。HD傘下に事業ごとに再編した子会社を設立する。テレビ事業などをはじめとする成長が見通せない課題事業の売却や縮小も検討する。

  • パナソニックHDは傘下のパナソニックを2025年度中に解散すると発表した

    パナソニックHDは傘下のパナソニックを2025年度中に解散すると発表した

パナソニックをいずれも仮称で、家電を手がける「スマートライフ」、空調などを手がける「空質空調・食品流通」、電設資材を手がける「エレクトリックワークス」の3つの事業会社に分割する予定。稼ぎ頭であるグループ内最大の事業会社を分割することで、自主責任経営を加速し、成長につなげる。

同日に記者会見した楠見雄規社長は「2025年度は経営改革に集中する。構造的課題、本質的課題それぞれを解決し、基盤を固める。テレビ事業をはじめとする低収益事業を2025年度中に見極め、抜本的に事業構造と体制を見直す」と述べた。

  • パナソニックHD 代表取締役社長 CEO(最高経営責任者)楠見雄規氏

    パナソニックHD 代表取締役社長 CEO(最高経営責任者)楠見雄規氏

テレビ事業の今後については「売却する覚悟はあるが、現時点でテレビ事業を買ってくれる企業はないと考えている。様々な手段で考えていく」と説明し、「私自身、テレビ事業に携わってきたので、(テレビ事業売却を検討することに対して)センチメンタルな気分も少しはある」と苦い表情を見せた。

その上で「家電事業において、ジャパンクオリティを世界で戦える『グローバル標準コスト』で実現しなければならない。高コスト体質や環境変化に対する変革の遅れが当社の課題だ。開・製・販リソースの適正化を徹底していく」と話した。

パナソニックHDは、前身の松下電器産業時代の1952年に白黒テレビを発売。1960年にはカラーテレビも売り出し、日本でのテレビの普及期を支えた。

また同社は4日、2028年度の調整後営業利益を7500億円以上と、2024年度計画より3000億円以上増やす目標を新たに掲げた。加えて、固定費の構造改革や収益改善を進め、2028年度のROE(自己資本利益率)と調整後営業利益率を10%以上にすることを目指す。「経営基盤を作り変え、企業価値向上を加速させていく」(楠見氏)とのことだ。