Infineon Technologies(インフィニオン テクノロジーズ)は3月12日(独時間)、AIデータセンターの無停止運用を実現し、停電やデータ損失のリスクを回避するための次世代バッテリーバックアップユニット(BBU)ソリューションのロードマップを発表した。

ITICの2024年のAIデータセンターに関する調査によると、インタビューを受けた企業の41%がダウンタイム1時間あたりの損失を100万ドルから500万ドル以上と回答しているという。また、そうした障害の35%は、電源コンポーネントの品質問題に起因しているという。

こうした電源コンポーネントの品質向上に向けて、同社のBBUの主要技術であるパーシャルパワー変換器(PPC)は電源システムの性能と信頼性の向上に重点を置いた半導体ソリューションとなっており、BBUのロードマップとしては、4kW、5.5kW、12kWの電源ソリューションを計画。AIサーバーラックにおいて、高効率で信頼性が高く、拡張可能な電力変換を実現するように設計されているとする。

また、電力の無停電供給を可能にするとともに、データセンター機器に供給される電力をフィルタリングおよび調整することで、電圧スパイク、サージ、その他の電力異常から精密なAIハードウェアを保護することも可能とするとしている。

5.5kWのBBUに代表される中間ソリューションは、SiとGaN技術を統合した独自のトポロジーを特長とし、高効率と高電力密度を実現したとするほか、12kWシステムについては、同社PSOCマイコン、40Vおよび80VのOptiMOS、EiceDRIVERゲートドライバーを活用し、4kWの電力変換カードを複数組み合わせることで、高性能と柔軟性を両立させ、業界平均の4倍の電力密度を達成するとしている。マザーボード上の複数のカードを並列にしたモジュールとすることで、より高い電力レベルを実現でき、拡張性とメンテナンスの簡素化が容易になるとするほか、1枚のカードが故障しても、システムとしては容量を減らして動作を継続し、ダウンタイムを最小限に抑え、高い信頼性を確保することができるとしており、これによりシステム全体を再設計することなく、特定の電力要件に合わせてシステムを調整することができ、性能と信頼性において顧客にメリットを提供できるとする。

  • InfineonのBBUのロードマップ

    InfineonのBBUのロードマップ (提供:Infineon)

なお、同社では最新のBBU技術の能力の実証を進めることを目的に、BBU用のフルシステムデモ機の開発を進めていることを明らかにしており、これにより実際のアプリケーションにおけるPPC技術の利点を示し、次世代AIデータセンター向けの明確な方向性を提示していくことを目指すとしている。