ASMLとimecが新たな次世代半導体研究で協業

ASMLとimecは3月11日(欧州時間)、次世代半導体の研究と持続可能性に重点を置いた戦略的パートナーシップ契約を締結したと発表した。

契約期間は5年間で、両者の知識と技術を結集して、2つの分野で価値あるソリューションを提供することを目指すとする。1つ目は半導体産業を発展させるソリューションの開発、2つ目は持続可能なイノベーションに重点を置いた取り組みの開発である。

  • imecとASMLの戦略的パートナーシップ契約締結式の様子

    imecとASMLの戦略的パートナーシップ契約締結式の様子。左がimecの社長兼CEOのLuc Van den hove氏、右がASMLの社長兼CEOのChristophe Fouquet氏 (出所:imec)

この提携には、高NA(NA=0.55)EUV、NA=0.33の既存EUV、DUV(液浸)、YieldStar光学計測、HMIシングルビームおよびマルチビーム技術などのASMLの製品群をimecが建設を進めている最先端パイロットライン(imec Fab4)にインストールし、EUとフランダース地方政府が資金提供するNanoICパイロットライン計画に組み込む形で国際的な半導体エコシステムにサブ2nmの研究開発のための最先端のインフラストラクチャを提供することも含まれている。

  • 契約締結式に参加したimecとASMLの関係者たち

    契約締結式に参加したimecとASMLの関係者たち (出所:imec)

研究開発の重点分野には、シリコンフォトニクス、メモリ、先端パッケージングも含まれ、さまざまな市場で将来の半導体ベースのAIアプリケーションに技術革新をもたらすことを意図しているという。

なお、ASMLのこのパートナーシップへの投資は、欧州の半導体エコシステムと技術的リーダーシップ強化に向けた半導体共同事業体(Chips Joint Undertaking:CHIPS JU)とフランダース政府(EU Chips Act NanoICパイロットライン実現プロジェクト)、およびオランダ政府(欧州共通利益の重要プロジェクト)から資金が一部提供される予定のほか、NanoICパイロットラインの建設と運用は、欧州連合のDigital EuropeおよびHorizon Europeプログラムを通じてCHIPS JUと参加国であるベルギー(フランダース)、フランス、ドイツ、フィンランド、アイルランド、ルーマニアより資金が提供されている。

SCREENとimecが環境に優しい半導体プロセスの研究開発で協力

このほか、SCREENセミコンダクターソリューションズが3月4日にimecと新たな戦略的パートナー契約の締結に関する調印式を行ったことを発表している。

今回の契約期間は5年で、今回の合意により両社は、より高度な製造プロセスの確立とともに、エネルギー消費の低減や温室効果ガスの削減などの環境負荷低減技術の確立に向けて、SCREENが2022年5月に加盟したimecの半導体製造工程が環境に与える影響を予測することで、半導体バリューチェーン全体の環境負荷低減を支援する取り組みである「SSTSプログラム」を活用したサステナビリティ活動の拡大を進めていくとする。

また、新たにSCREENのコータ・デベロッパ「DT-3000」をimecに納入し、環境に配慮した製造装置開発に向けた共同評価も行っていくともしている。

  • imec本社で行われた調印式の様子

    imec本社で行われた調印式の様子。左がSCREENセミコンダクタソリューションズ社長の岡本明彦氏、右がimec社長兼CEOのLuc Van den hove氏 (出所:SCREEN)