ElevationSpaceは、ドイツ Isar Aerospace(イーザー・エアロスペース)とロケット打ち上げ契約を締結したと3月4日に発表。ElevationSpaceが開発を進めている宇宙機「ELS-R100」シリーズの初号機「あおば」を、2026年後半に打ち上げる予定だ。

  • Isar Aerospaceのロケット「Spectrum」

ElevationSpaceは、「軌道上のヒト・モノをつなぐ交通網を構築する」をビジョンに掲げ、小型再突入技術を軸に宇宙から地球への輸送サービス開発に取り組むスタートアップ企業。東北大学やJAXAと連携し、宇宙の微小重力環境で研究開発・製造された物資を地球に持ち帰って顧客に返す“国内初”のサービス提供に向け、宇宙環境利用プラットフォーム「ELS-R100シリーズ」の開発を進めている。2024年には、回収カプセルの分離衝撃や着水衝撃などの試験を成功させた。

今回の契約理由についてElevationSpaceは、「Isar Aerospaceのロケットはめざす軌道にペイロードを直接投入できることに加え、柔軟な打ち上げスケジュールも選べる。実際にロケットの開発現場を視察し、高度に自動化され、垂直統合された生産アプローチによる高い技術力と信頼性を確信した」と説明している。

  • 宇宙空間でカプセルを分離するイメージ

Isar Aerospaceは、2018年にドイツ・ミュンヘン近郊で設立。地球低軌道(LEO)に1,000kgのペイロード(貨物)を投入できる2段式ロケット「Spectrum」を開発しており、すでにAirbus Defence and Spaceをはじめとする欧州企業から打ち上げ契約を獲得しているという。資金調達も進めており、累計調達額は4億ユーロ超で、これは欧州の民間宇宙企業として最大だという。

Spectrumロケットは、ノルウェー北部アン島に開設された宇宙港「Andoya Spaceport」からの打ち上げをめざしており、ここで静的燃焼試験を完了。ノルウェー民間航空局の承認と打ち上げライセンスを取得した後、最初の試験飛行に向けた最終準備を開始したとのこと。