半導体市場動向調査会社TrendForceによると、2024年第4四半期のDRAM市場は前四半期比9.9%増の285億9800万ドルとなったという。主に、サーバDDR5の契約価格の上昇とHBMの好調な出荷によるもので、メモリ大手3社(Samsung Electronics、SK hynix、Micron Technology)ともに売上高を拡大させている。
2025年第1四半期は、伝統的な低迷期となるため、DRAMサプライヤからの全体的なビット出荷量は減少すると予想されるほか、PC OEMとスマートフォン(スマホ)ベンダーの在庫処分の取り組み継続も予想され、DRAMサプライヤはDDR4と一部のHBMの生産をサーバDDR5に振ることが見込まれるが、クラウドサービスプロバイダ(CSP)からの到達需要が弱まるにつれて、従来型DRAMの契約価格はHBMと組み合わせた場合を含めて低下すると予測されるとする。
HBMが好調のSK hynixが首位Samsungを猛追
各社の売上高を見ると、Samsungが同5.1%増の112億5000万ドルとシェアトップを維持したものの、PC OEMおよびスマホ部門の在庫削減によるLPDDR4/DDR4の需要減退に加え、HBMへのシフトもありビット出荷量が減少した。シェア2位のSK hynixは同16.9%増の104億5800万ドルで、シェアを36.6%まで拡大。首位Samsungと約3ポイントを切るところまで差を詰めた。HBM3eの好調な出荷がLPDDR4/DDR4の出荷減を相殺して余りあるほどで、それが業績の伸びを支えた形となった。3位のMicronの売上高は同10.8%増の64億ドルとなった。サーバDRAMとHBM3eの出荷増によるビット出荷量の増加によるところが大きいという。
一方、台湾DRAMサプライヤ各社は民生用DRAMの需要減と中国DRAMサプライヤの台頭で軒並み売り上げを落とす結果となった。台湾勢トップのNanya Technologyは、コンシューマDRAMの需要軟化と、中国DRAMサプライヤによるDDR4の価格競争の影響を受け、同四半期の売上高は同19.3%減の2億300万ドルと落ち込んだ。Winbondも同22.4%減の1億1900万ドル、Powerchip Semiconductor Manufacturing(PSMC)も同37.9%減の1100万ドルと大きく下げている。ただし、PSMCはDRAMファウンドリサービスを含めた全体の売上高は同10%減にとどまっており、顧客からは一定の需要があることが見て取れる。