パナソニック ホールディングス(HD)は2月4日、2025年3月期の連結売上高(国際会計基準)が前期比2%減の8兆3000億円になる見通しだと発表した。従来予想から3000億円引き下げる。車載電池を手がけるオートモーティブシステムズの全株式譲渡により、同社が2024年12月より連結対象から除外されたことが影響した。営業利益と純利益はそれぞれ3800億円、3100億円と従来予想を据え置いた。
2024年4~12月期の連結決算に関しては、売上高が前年同期比2%増の6兆4039億円、営業利益が9%増の3483億円だった。くらし事業、コネクト、インダストリーの販売増に加え、為替換算の影響が寄与した。また個別事業では、くらし事業で苦戦が続いていた欧州向けヒートポンプ式温水給湯暖房機事業が増収に転換し、中国家電が補助金効果で前年並みになったほか、生成AI関連事業が好調に推移した。
一方、同期間における純利益は、前期に液晶子会社の解散に伴う税金費用の減少があった反動が大きく、前年同期比28%減の2884億となった。
4日の記者会見に登壇した代表取締役 副社長執行役員 グループCFO(最高財務責任者)の梅田博和氏は「生成AIサーバに使う電子材料や電子デバイス、データセンターに必要な蓄電システムなどが好調だった。今後も高成長が継続する見込みだ」と説明した。
車載電池事業に対する米国インフレ抑制法(IRA)に係る補助金の計上が2025年3月期通期の純利益を1160億円押し上げる見込み。IRAは、2022年8月に成立した、過度なインフレの抑制とエネルギー政策を推進する法律。パナソニックHDは米国のEV(電気自動車)普及のために、補助金を車載電池事業の投資に充てる。
サプライチェーン(供給網)管理システムを手がける子会社の米ブルーヨンダーの業績も好調だ。SaaS販売好調による増販益および限界利益率の向上による増益を達成。2024年4~12月期の調整後営業利益は前年同期比で約1.8倍の203億円、年間では2.1倍の252億円になる見通しだ。セキュリティ強化に向け戦略投資を前倒しで実行しているという。
またパナソニックHDは4日、2028年度の調整後営業利益を7500億円以上と、2024年度計画より3000億円以上増やす目標を新たに掲げた。代表取締役社長 CEO(最高経営責任者)の楠見雄規氏は「経営基盤を作り変え、企業価値向上を加速していく」と強調した。