調査会社の米ガートナーは2月3日(米国時間)、2024年の半導体市場規模が前年比18.1%増の6260億ドルとなったとの調査結果(暫定)ならびに2025年の半導体市場規模を前年比12.6%増の7050億ドルとする予測を発表した。

市場を主にけん引したのはデータセンター需要の中心役となったAI向けのGPUやアクセラレータで、同社のVice PresidentでアナリストのGeorge Brocklehurst氏は、「AIと生成AIワークロードの需要の高まりを追い風に、データセンターセグメントの市場規模はスマートフォン(スマホ)に次ぐ2番手まで成長した。その2024年の市場規模は前年の648億ドルからほぼ倍増となる1120億ドルに達した」と、AI関連分野の躍進が目立っていることを強調する。

また、こうしたAI関連の急成長が半導体企業ランキングにも影響を及ぼしたともしており、売上高上位25社のうち11社が2桁成長を記録、上位10社に限れば9社がプラス成長を達成した。一方、売り上げを減少させたのは8社であったという。

2024年の半導体企業別売上高トップ10

2024年の売上高トップはメモリ価格の回復の恩恵を受けたSamsung Electronicsで、2023年の2位からの返り咲きとなった。一方、2023年トップだったIntelはPC市場の軟調などの影響で売上高が前年比0.1%増の横ばいとなったこともあり2位に後退した。

3位は好調な業績が続く前年5位のNVIDIAが躍進。2024年の売上高は同83.6%増の459億8800万ドルと驚異的な成長を見せている。

また、4位にはそのNVIDIAを中心とするAI向けGPUなどで活用されるHBMでリーダー的ポジションを獲得したSK hynixが前年の6位からNVIIDA同様に躍進を果たした。加えてSamsung、SK hynix同様、DRAM市場の回復の恩恵を受けたMicron Technologyも売上高を同72.7%増の278億4300万ドルと急増させて前年の12位から6位へと躍進を果たした。

Samsung、SK hynix、Micronに代表されるメモリ市場は2024年に同71.8%増という驚異的な成長率を記録。非メモリ市場がAI半導体の成長を含めても同6.9%増に留まったのと対照的な結果となった。中でもDRAMは同75.4%増、NANDも同75.7%増としているほか、HBMの売上高がDRAM市場全体の13.6%を占めるまでに成長したという。この結果、メモリが半導体市場全体に占める割合は25.2%に成長。Brocklehurst氏は、「HBMのDRAM売上高に占める割合は2025年には19.2%にまで拡大することが予測され、その売り上げ規模も同66.3%増の198億ドルに達すると予測される」とHBMがDRAM市場のけん引役になっていることを強調する。

一方でNVIDIAとSK hynixの躍進の余波を受けたQualcommは売上高を同10.7%増の323億5800万ドルと伸ばしたものの、順位を前年の3位から5位へと落とすこととなったほか、前年4位のBroadcomも7位へと順位を落とした。

なお、8位には前年7位のAMD、9位には前年8位のAppleがそれぞれランクイン。10位は上位10社の中で唯一、同6.0%減の160億100万ドルとマイナス成長を記録したInfineon Technologiesが前年の9位から順位を1つ下げる形でランクインしている。

  • 2024年の半導体企業売上高トップ10

    2024年の半導体企業売上高トップ10。なお、TSMCなどのファウンドリが入っていないのは、それらの顧客が半導体メーカーであり、その売り上げを合算すると二重計上となってしまい、正確な市場規模の算出ができなくなるため (出所:ガートナー)