核融合ベンチャーのHelion Energyが1月28日、4億2500万ドル(2025年1月29日時点での日本円換算で約660億円)の新規資金調達を発表した。評価額は52億4500万ドル、得られた資金はMicrosoft向けの電力供給の準備に充てるという。

アルトマン氏も出資する核融合発電のスタートアップ

Helionは2013年創業の核融合発電のスタートアップ。OpenAI CEOのSam Altman(サム・アルトマン)氏も出資者として名を連ねており、2023年にはMicrosoftと電力供給契約を交わしている。

核融合発電は、太陽など宇宙の星々が核融合によりエネルギーを生み出すことを応用した発電方法で炭素排出を伴うことなく、ほぼ無限のエネルギー源になりうるといわれている。そのため、持続可能なエネルギーとして注目されている。

2023年当時、2028年までに商用の核融合発電プラントを稼働させ、Microsoftの本社があるワシントン州の送電網に接続し、まずは最低50MWの発電量を目標に掲げていた。

Microsoftは2030年までにカーボンマイナスを目指しており、Helionとの契約はこの目標の達成に貢献するとともに、世界の新しいエネルギー源の開発を支援することにもつながるとしていた。

今回の資金調達に先んじて同社は、7世代目のプロトタイプ「Polaris」の運転を開始し「核融合反応による発電を最初に実現する装置」と説明している。今後の計画として、最初の核融合発電所をMicrosoftの本拠地でもるワシントン州に建設するとしている。

今回の資金調達はシリーズFラウンドとなり、Lightspeed Venture Partners、SoftBank Vision Fund 2、主要な大学の基金が新たに参加している。このほか、アルトマン氏、Capricorn Investment Group、Mithril Capital、Google Ventures Foundationを通じてDustin Moskovitz氏(Facebookの共同創業者)などの既存投資家も参加。これにより、累計の調達額は10億ドルを上回ったと報告している。