三菱重工業は、四国電力 伊方原子力発電所向けに受注した使用済み燃料輸送・貯蔵兼用の乾式キャスク計15基のうち、初回出荷分2基の製造を完了し、同所に納入したと1月17日に発表した。
伊方原発(愛媛・西宇和郡伊方町)では、2025年7月頃に乾式貯蔵施設を構内に開設し、運用開始する計画。三菱重工はその初回貯蔵用に納入される乾式キャスク計15基を受注しており、残りの13基についても順次製造を進めているという。
今回納入した乾式キャスクの型式は「MSF-32P」で、大きさは2.6×5.2m(直径×高さ)、総重量は約120トン。廃炉が決まっている1号機と2号機の使用済み燃料32体を収納できる。
乾式貯蔵の中核となる乾式キャスクは、輸送と貯蔵を兼用できる専用容器のこと。使用済燃料を一定期間貯蔵した後、他の輸送容器に詰め替えずに輸送する必要があり、高度な安全性と信頼性が求められる。
三菱重工では、実機スケールで9mの傾斜落下試験といった安全性実証試験に加え、アルミニウム合金やレジンといった材料についても長期健全性試験結果を反映。閉じ込め、臨界防止、遮蔽、除熱といった4つの安全機能を、60年間維持する設計としている。
同社は原子力機器製造のノウハウを生かしつつ、製造・検査を高度に自動化したキャスク専用組立工場を整備。短納期で、かつ経済性と品質を高めた乾式キャスクの量産供給体制を確立し、乾式貯蔵へのニーズの高まりにも即応できるよう取り組むとしている。