島津製作所は1月20日、将来的な経済成長が見込まれるインド事業の強化に向けて、同国カルナタカ州に計測機器などの製造子会社「Shimadzu Manufacturing India Private Limited(SMI)」を設立することを発表した。
インドは2023年に人口が世界1位となり、GDPも2027年には世界3位まで上昇することが予測されるなど、経済の成長が今後も期待される地域。島津製作所が注力するヘルスケア・グリーン・マテリアル・インダストリーにおいても、後発薬(ジェネリック医薬品)の世界的な生産地域であるほか、電気自動車(EV)や半導体の自国での生産も推進しており、産業化が加速されることが見込まれている。
これまで同社はインド向け製品を日本およびマレーシアのShimadzu Malaysiaから供給していたが、新工場の建設による現地での生産を強化することで、インドでのサプライチェーンの強化とともに、同国の国産品優遇策(Make in India)への対応を進めるとしている。
新工場は2027年春に竣工・稼働開始を見込んでおり、当初は液体クロマトグラフ(LC)、ガスクロマトグラフ(GC)、紫外可視分光光度計(UV)、液体クロマトグラフ質量分析計(LC-MS)、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS)といった分析機器の製造を行う予定としているが、将来的には医用機器や産業機器の製造も検討していくとしている。
また、同社では同じくインドで計測機器と医用機器の販売会社を統合する形で2025年夏に「Shimadzu India Private Limited(SIP)」を設立する予定としている。この新販売会社は、同社のアジア統括会社であるシンガポールのShimadzu(Asia Pacific)が100%出資する孫会社という位置づけとなる。同社はインドに向けて2001年に医用機器、2005年に計測機器の販売会社を設立して営業・サービスを行ってきたが、これをSIPとして統合して、同一組織で運営することで、両機器を使用する病院などの顧客との協力関係を強めて「臨床領域での事業展開力向上」や「ソリューション提供による顧客満足度の向上」を目指すとしている。
なお、島津製作所では、今回のSMIおよびSIPの設立により、インドにおける売上高を2035年に2023年比約2.6倍となる約470億円とすることを目指すとしている。