日本半導体製造装置協会(SEAJ)は1月16日、2024~2026年度の半導体製造装置およびFPD製造装置の販売高予測を発表した。
2024年度の従来予測を上方修正
それによると2024年度(2024年4月~2025年3月)の日本製半導体製造装置販売額(日本企業の海外製造分も含み、日本国内および海外での販売合計額)は、中国市場の好調とAI関連を中心とするメモリの投資回復により、2024年7月発表の従来予測を5ポイント上回る前年度比20%増の4兆4371億円へと修正したという。販売額が4兆円を超えるのは初のことだという。
また2025年度は中国向け比率の低下、台湾を除く先端ファウンドリやDRAMへの投資姿勢の強弱を精査した結果、同5%増の4兆6590億円と予測しているほか、2026年度は全分野でAI関連の半導体需要の増加から同10%増の5兆1249億円と予測している。
日本市場も伸長
2024年度における日本市場の販売額(日本企業および外資系企業の日本国内市場での販売額合計)は、政府による補助金や大手ファウンドリの堅調な投資がある一方、パワー半導体などが投資に慎重な姿勢を見せる結果、同7%増の1兆2232億円と予想されるという。また2025年度は複数の大手ファウンドリの投資が重なること、メモリ投資も伸びることが期待されることから、同30%増の1兆5902億円、2026年度も投資の継続から同20%増の1兆9084億円を予測している。
SEAJでは、世界の半導体産業の動向について、メモリ価格の上昇などを背景にした2024年通年で過去最高となる6268億ドルとなる見込み、2025年も半導体市場も前年比11.2%増と順調に成長するとする世界半導体市場統計(WSTS)の半導体市場予測を踏まえ、足元ではAIサーバ以外の市場の回復が鈍く、汎用DRAMやNANDの価格下落もみられるが、2025年後半以降の需要回復とともに在庫調整が完了し、再び価格上昇が期待されるほか、AI向けのGPUとHBMの需要の高止まり、データセンターの能力増大と電力消費抑制の両立に向けた次世代品への移行の促進、AIアクセラレータの特定企業のGPUから徐々に選択肢が広がっていくことへの期待があるとしている。
また、AIをPCやスマートフォンに搭載するオンデバイス(エッジ・ローカル)AIの能力を活用できるソフトウェアの普及などが2027年にかけて進むことが見込まれ、2nmプロセスの量産本格化の時期であることと併せて、市場が本格的に立ち上がり、AI機能の強化のためのDRAMの高容量化・高速化ニーズが、メモリ市場にプラスの影響を与えることになるともしている。
こうした市場の動きから半導体製造装置市場についても、2024年度の高い成長率を踏まえ、2025年度も車載・パワー半導体の投資減速懸念などはあるものの、AI半導体の需要拡大と、それを実現するメモリの高層化を含めたさまざまな技術進化に伴う投資の拡大により、プラス成長が継続すると見ており、2026年度もオンデバイスAI市場の拡大に伴う設備投資の拡大が期待されるなど、半導体市場の2030年には1兆ドルに達するとする成長に合わせる形で、半導体製造装置も中期的な高い成長が続くことが見込まれるとSEAJでは見込んでいる。