TrendForceによると、2025年第1四半期におけるNANDの平均契約価格はサプライヤの在庫レベルの増加と受注環境の悪化により、前四半期比10~15%減と予測されるという。

  • NANDカテゴリ別契約価格の前四半期比増減率

    NANDカテゴリ別契約価格の前四半期比増減率。2024年第4四半期は推定、2025年第1四半期は予測 (出所:TrendForce)

第1四半期は一般的に需要の閑散期だがWindows 10のサポート終了やAI PC向けCPUの販売活性化など、いくつかの明るい見通しもあるが、AI PC向けアプリケーションはいまだに未成熟であり、購買意欲を刺激するには至っていない。そのためサプライヤにとって、クライアントSSDの在庫処分が2025年上半期の最優先事項になっており、契約価格の引き下げを進める必要性が生じている。その結果、TrendForceでは同四半期のクライアントSSDの契約価格は同13~18%ほど下落すると予測している。

一方、エンタープライズSSDについてはAIなどのニーズから需要は堅調と予測されているが、季節的な要因から第1四半期の調達量は減少するとも予測している。一部のサプライヤは将来の需要予測を満たすことを目的に60TB以上の大容量製品に重点を移しており、16TBと30TB品の価格が下がる可能性があることから、同四半期のエンタープライズSSD契約価格は同5~10%ほど下落すると予測されるという。

eMMC製品の契約価格に関しては、スマートフォン(スマホ)メーカーが在庫の消化を優先すること、教育分野における調達のピークアウト、通信およびネットワークインフラ分野のプロジェクト遅延などを背景とするモジュールメーカーからの価格下落圧力から同13~18%ほど下落するとTrendForceでは予測している。

UFSについては、ハイエンドスマホや自動車関連で需要が増加しているが、全体的なスマホ需要の低迷が継続すると見られることから、契約価格は同13~18%ほどの下落となると予測されるという。

なお、TrendForceでは、2025年上半期のNAND需要は不確実で価格下落が続くとしており、モジュールメーカーのウェハの調達に対する関心は限定的となり、特定仕様の少量の調達にフォーカスするとの見方を示しており、同四半期のウェハ契約価格は同13~18%の下落と予測されるとするほか、さらなる下落の可能性もあると指摘している。

需要減でサプライヤ大手3社がそろって減産か?

複数の韓国メディアが、最近、Samsung ElectronicsとSK hynixがレガシープロセスのNAND生産を減らし、古い生産拠点の装置の改造や入れ替えによるアップグレードを進めていると報じている。また、Micron TechnologyもエンタープライズSSDの需要の弱まりを受けてNANDウェハの投入量の削減を開始したとも報じている。

エンタープライズSSDはNANDの価格下落に対する緩衝材として期待されているが、季節的な需要減退などもあり、第1四半期の契約価格は下落が予想されている。こうしたエンタープライズSSDの需要鈍化に併せてSamsung、SK hynixともに第1四半期の収益が悪化するとの見方もあり、価格維持を目的とした減産を検討している模様である。

SamsungとSK hynixのNANDの減産は当面の間は、レガシー製品を中心に展開される模様で、両社ともに2025年下半期にかけて主要な製造装置パートナー各社に既存の第7世代向けNAND製造装置を第8/9世代向け製造装置に改造するよう要請しているという。