台湾TrendForceによると、2025年第1四半期のDRAM価格は伝統的なオフシーズンとスマートフォン(スマホ)などの製品需要低迷に加え、米国の次期トランプ政権下での潜在的な輸入関税の引き上げを懸念したノートPCメーカーによる在庫積み増しの前倒しもあり、下落圧力にさらされることが予想されるという。

その結果、従来カテゴリのDRAMについては、契約価格が前四半期比8~13%ほど下落すると予想されるが、好調なHBMを含めると、下落率は同0~5%減の範囲に留まることが予想されるとしている。

  • DRAMの製品カテゴリ別の2024年第4四半期(推定)および2025年第1四半期の契約価格(予測)

    DRAMの製品カテゴリ別の2024年第4四半期(推定)および2025年第1四半期の契約価格(予測) (出所:TrendForce)

DRAM製品カテゴリすべてで価格下落傾向

TrendForceでは、2024年第4四半期はエンドマーケットの低迷からDRAM価格のトレンドが反転する中、PC OEMが在庫削減の取り組みを加速させたとしている。この在庫一掃戦略は2025年第1四半期も継続すると予想され、ビット調達量がさらに抑制されることになるという。

中でもDDR4は、消費者需要の低迷に加えて、中国サプライヤ勢による増産、スポット市場での低価格DRAMの増加などもあり、DDR5と比べて下落率はより高くなる見込みだという。この結果、PC DRAM価格は下落傾向が続き、契約価格は同8~13%減と前四半期と比べても下落率が高まると予想されるという。

また、サーバDRAMについても季節的な需要低迷からDDR5/DDR4ともに契約価格が下落すると予想している。サプライヤ各社は生産能力の多くをDDR5にシフトさせているほか、一部のHBM生産能力がDDR5に向けられたことが価格下落の要因となっているが、DDR4は流通チャネルの在庫過剰、買い手側の在庫過剰、中国サプライヤ勢による2025年の生産増強などを背景に価格の下落圧力が高まっており、結果としてDDR4の契約価格は同10~15%減と予測され、サーバDRAM全体としても同5~10%減となることが予測されるという。

モバイルDRAMについては、スマホブランド各社のDRAM在庫は2四半期続いた調整からほぼ健全なレベルに戻った模様だが、2025年第1四半期にスマホブランド各社はより有利な契約価格を確保するために受動的な調達戦略を維持することが予想されることから、LPDDR4Xの契約価格は同8~13%減、LPDDR5Xも同3~8%減と予想している。

グラフィックスDRAMは、次世代GPU向けGDDR7の在庫積み増しがけん引役とみられるが、DRAM市場全体の弱含みとバイヤ側の在庫増加の影響により、全体的には低調に推移することが予想されている。そのため同四半期の平均契約価格は同5~10%減と予測している。一部の生産能力がHBMに振り向けられつつあるが、グラフィックスDRAMの価格は、外部市場の動向や在庫増減の影響を受けやすいため、短期的な安定性を維持する可能性は低いとの見方をTrendForceでは示している。

コンシューマDRAMの契約価格は2024年第4四半期に下落し始めており、バイヤ側もこの下落傾向が続くと予想していることから購入には消極的な姿勢を示している模様である。結果、サプライヤの在庫の増加につながり、加えてコンシューマ製品市場の低迷、デバイスあたりの容量の伸びの頭打ちなども価格下落圧力となり、スポット市場の供給過剰と値引き販売も加わり、2025年第1四半期の契約価格はDDR3で同3~8%減、DDR4で同10~15%減と予測されるという。