OpenAIが「ChatGPT」を世に放ってから2年以上が経過し、その後さまざまな言語モデルとサービスが登場している。それでもOpenAI CEOのSam Altman(サム・アルトマン)氏が注目人物であることには変わりない。同氏はロングインタビューに応じ、OpenAIの設立、リリース当時、そして解任騒動などについて振り返っている。ここでは、展望を中心にまとめる。
モデルの拡張性が「2025年は信じられないような年になる」
「AGI(Artificial General Intelligence:汎用人工知能)に魅了されていた」とOpenAI立ち上げに至るモチベーションを表現しているアルトマン氏。2022年11月のリリースについては、内部では準備ができていない、なぜリリースするのか?という意見もあったが、「うまくいくと思っていた」と振り返っている。
アルトマン氏は2023年末のCEO解任騒動を経て、CEOとしてOpenAIを率いている。当面の課題とされる「モデルの拡張性」「半導体不足」「エネルギー不足」について、同氏はそれぞれについて「かなり良いと感じている計画がある」と述べる。
例えば、モデルの拡張性については「技術的進歩、能力の進歩、安全性の進歩、すべてに継続して取り組んでいる。2025年は信じられないような年になる」と述べる。根拠の1つとして12月末に発表した「o3」でARC-AGIテストをクリアしたことなどを挙げた。
半導体不足についてはNVIDIAなどパートナーとの取り組みを強調し、電力不足については「まもなく核融合が機能するようになる」とした。「短期的に気候目標を下げることなくAIの成長を維持する方法はあるか?」という質問に対しては、「ある」と回答。「核融合炉の許可を迅速に出すこと」が求められるとした。
大統領が誰であろうと可能な限り協力
これらは政府との協力なしには不可欠だ。米国では2025年に次期ドナルド・トランプ政権がスタートし、アルトマン氏は個人名義で就任資金として100万ドルを寄付している。同氏は、どの大統領であってもすべてを支持することはないとしながらも「私はアメリカ合衆国を支持しており、国のために大統領が誰であっても可能な限り協力する」と説明している。
トランプ氏と近い関係にあるElon Musk(イーロン・マスク)氏とは、法廷で対立する関係にある。マスク氏については、「さまざまなひどいことをするだろう。われわれを訴え続け、訴訟を取り下げても新しい訴訟を起こすだろう」とアルトマン氏は述べつつ「ただ、(それらは)イーロンがイーロンらしくあること」とも語っている。
一方で、トランプ政権で何らかの役割を与えられ、そこで得た権力を濫用して競合相手を妨害するのでは?という疑いについては「そうは思わない」と述べている。
一連の問答は1月5日付のBloombergによる、アルトマン氏へのロングインタビューを一部抜粋した。