村田製作所は、1km以上の長距離で高速データ転送が行えるというWi-Fi規格「Wi-Fi HaLow」に対応し、耐環境性も高めた通信モジュール2品種「Type 2HK」、「Type 2HL」を開発。量産開始は2025年下半期を予定している。

  • Wi-Fi HaLow対応通信モジュール「Type 2HK」

Wi-Fi HaLow向け半導体チップを手がけるNEWRACOMの最新チップ「NRC7394」を搭載した、IoTデバイス向けの通信モジュール(プロセッサはArm Cortex-M3)。

2品種の主な違いは出力強化用パワーアンプの有無や使用周波数帯で、Type 2HKはパワーアンプを搭載し902MHz~928MHzを使用。Type 2HLはパワーアンプ非搭載で、750MHz~950MHzを使用する。

いずれも産業機器で求められる-40~+85度の動作温度に対応し、厳しい耐環境試験にも合格した高信頼性モジュールとして訴求。量産時には出荷時に1台ずつ出力調整を行うことで通信出力のばらつきをなくし、「多様なユースケースでの利用が想定されるIoTデバイスにおいて安定した通信を実現する」としている。大きさは18×14×2.3mm(幅×奥行き×厚み)。

主な用途として、スマートホーム関連の民生機器のほか、スマートシティやスマートファクトリーなどへの採用、セキュリティカメラや社会インフラ管理、産業機器、医療機器まで幅広い分野での活用を想定。北米と日本での電波利用に向けた認証を取得予定で、別途認可取得の必要がなく、市場投入までの時間短縮も見込む。

Wi-Fi HaLowは「IEEE 802.11ah」として標準化されている通信規格で、一般的なWi-Fiが利用する2.4GHz帯や5GHz帯とは異なる、900MHz帯(サブ1GHz帯)を使って1km以上での高速通信が可能。データ転送時の消費電力を大幅に削減でき、高効率なデータ通信環境も提供できるとする。

Wi-Fi/IP通信プロトコルをそのまま利用できるのも特徴で、既存のWi-Fiソリューションから置き換えられ、通信キャリア管理下の基地局を利用する必要がないので通信コスト削減や、ユーザーによる独自管理も可能とのこと。