シャープは、スマートフォンなどに使われるカメラモジュールの部品事業について、親会社である鴻海(ホンハイ)精密工業の子会社へ譲渡することを決定し、12月27日に当該子会社と譲渡契約を締結。デバイス事業に関する投資負担の低減を図る。譲渡額は未定で、確定後に開示するとしている。
シャープの子会社であるシャープセンシングテクノロジー(SSTC)が保有する、ベトナムのSAIGON STEC(SSTEC)を、鴻海の子会社・Fullertain Information Technologies(Fullertain)に譲渡する。持分譲渡日は2025年5月30日、資産等譲渡日は同年8月30日の予定。SSTECは持分譲渡をもってシャープの連結対象から外れる。なお、今回の譲渡でシャープは連結業績において155億円の損失を見込むが、確定したものではないとしている。
今回の譲渡理由について、シャープは「『強いブランド企業"SHARP"』の早期確立をめざし、ブランド事業を中心とした事業体への変革を進めている。投資負担の大きいデバイス事業については、事業構造改革を進めつつ、他企業と連携していく方針」としたうえで、カメラモジュール事業については「成長を支援できるパートナーとして、顧客要望に応え得る投資余力と生産能力を持つ鴻海グループへの事業承継を軸に協議を進めており、今回の譲渡を行うことで合意に至った」と説明している。
シャープは2017年5月、自社のキーテクノロジー強化の一環として、スマートフォンやタブレット端末を中心とするカメラモジュール事業の競争力強化を図ることを目的とし、SSTECの出資持分51%を取得して子会社化。
しかし、2024年度第1四半期の決算説明会において、半導体事業とカメラモジュール事業の鴻海への譲渡を、2024年度中をメドに完了することをめざすと説明していた。