カナデビア(旧:日立造船)は、薄型3mmの全固体リチウムイオン電池「1Ahタイプ AS-LiB(Ultra-thin model)」を新たに開発したと11月14日に発表。「BATTERY JAPAN(関西)第11回[国際]二次電池展」(会期:11月20〜22日)に出展する。
AS-LiBは広い使用温度域や真空域でも使えるという、使用可能環境の多様性に特長があることから、同社では宇宙用装置や半導体製造装置、産業機械などへの採用をめざしているが、これらの装置では電池の小型化が求められている。
新しい全固体電池は、厚みを従来の自社製品比で4分の1まで抑え、1Ah(アンペア時)としては薄い3mmという厚みを実現。体積当たりのエネルギー密度も2倍以上(200Wh/L以上)に強化しており、産業用途で使われるリン酸鉄系リチウムイオン電池と同等レベルの体積エネルギー密度を追求した。同社では「宇宙用や半導体製造などの装置や、産業機械への適用可能性を高めた」としている。
カナデビアは2022年、宇宙航空研究開発機構(JAXA)との共同実証により、宇宙空間での全固体電池の充放電を世界で初めて確認。140mAhタイプのAS-LiBを基にした「全固体リチウムイオン電池軌道上実証装置(Space AS-LiB)」(140mAhタイプを15セル並列接続し、約2.1Ahの電源として利用)を用いて実験しており、宇宙から帰還時にはJAXAから宇宙飛行証明書(Certificate of Space Flight)を受領。また、2023年度には半導体製造装置向けに「AS-LiB (140mAh タイプ)」を商業ベースで初受注しているとのこと。