本田技研工業(ホンダ)は、アスリートが車いすレーサーを漕ぐ力を多角的に測定できる「漕ぎ力計測機器」を、世界で初めて開発。11月17日に開催される「第43回大分国際車いすマラソン」で初公開する。今後、国内外への貸し出しなどで車いす陸上競技の発展に寄与することをめざす。
アスリートの車いすレーサー(陸上競技用の車いす)を漕ぐ力を数値化・可視化し、客観的な分析をサポートするツールで、ホイールに装着して走行することで、漕ぐ力のかかり方の左右差や加速・減速要素、最高速度の出るタイミングなど、走行に影響を与えるあらゆる情報を数値化。
従来は感覚的に捉えがちだった、アスリートのフォームの特徴を数値化してデータに基づく分析を可能にするほか、複数の異なる車いすレーサーによる測定値の比較や、過去からの改善状況などもデータで確認しやすくし、効率的なトレーニングの一助となることをめざしている。
計測レポートの具体的な中身としては、特に漕ぐ力に寄与する3要素(接線力、法線力、軸力)を“漕ぎ力3成分”として3色でデータ描画。また、「漕ぎ力3成分とノルムの時系列グラフ」、「作用点位置 対 接線力」、「コンタクト時間」、「1周期に対するコンタクト時間割合」、「最大最小トルク(マイナスはブレーキ要素)」、「本サイクル最初と最後の時速」といった項目も表示する。
同機器のデータ計測においては、ホンダが長年研究を重ねてきた二足歩行ロボット「ASIMO」や、歩行アシストなどのロボティクス研究で培った6軸力センサーによる力の検知技術を活用。既に車いす陸上のメダリストが多数所属する米イリノイ大学や、国立スポーツ科学センターをはじめ、日本の複数のスポーツ団体および選手の協力のもとで30人以上のアスリートの計測に活用され、高評価を得ているとのこと。
皆さんは車いすマラソンを知っちょるやろうか?
— ホンダ太陽株式会社 (@hondasun_1981) November 7, 2024
日常で使う車いすとは違って、「レーサー」と呼ばれる車いす陸上競技専用の車いすに乗って競技するっちゃ
平均時速は約30km/hを超えて、フルマラソンの世界記録は1時間17分47秒っちゅう、立位のマラソンの2時間0分35秒よりしんけん速い記録が出るんで… pic.twitter.com/tnurFoTZ0y