IBMは11月13日(米国時間)、156量子ビットプロセッサ「IBM Quantum Heron」(第2世代)を搭載した量子コンピュータが、改善された量子ソフトウェア(SDK)「Qiskit」を組み合わせることで、5000回の2量子ビットゲート操作で、特定クラスの量子回路を正確に実行できるようになったことを発表した。

これは、同社が2023年に実施した量子ユーティリティの実証において正確に実行されたゲート数のほぼ2倍に相当するとのことで、これのより例えば2023年にNatureに掲載された量子ユーティリティ実験では、データ・ポイントあたりの処理時間が合計112時間であったものが、同じデータ・ポイントを使用した場合であれば、2.2時間で完了できるようになるとしている。

さらに、Qiskitをもっとも高性能な量子ソフトウェアに進化させ、開発者が、安定性、精度、速度を備えた複雑な量子回路をより容易に構築できるようにしたとも述べており、これは同社が主にサードパーティによる1000のテストでQiskitを測定するために使用したオープンソースのベンチマーク・ツールであるBenchpressを使用して収集された結果によって証明されているとするほか、他のプラットフォームと比較してもっとも性能が高く、もっとも信頼性の高い量子ソフトウェア開発キットであると説明している。

また、量子コンピュータ、ドキュメント、学習リソースのすべてに一元的にアクセスできる「IBM Quantum Platform」も、生成AIベースの機能や同社のパートナーが提供する新しいソフトウェアを含む新しいQiskitサービスによって選択肢を拡大させたとしており、以下のツールが含まれるようになったとする。

  • AIを使用して量子ハードウェアの量子回路の効率的な最適化を支援する「Qiskit Transpiler Service」
  • 開発者がIBM Graniteベースの生成AIモデルを使用して量子コードを生成できるように支援する「Qiskit Code Assistant」
  • 量子および古典システム全体で初期の量子を中心としたスーパーコンピューティング・アプローチを実行する「Qiskit Serverless」
  • IBM、Algorithmiq、Qedma、QunaSys、Q-CTRL、Multiverse Computingのサービスを利用して、量子ノイズのパフォーマンス管理の削減や、量子回路の複雑さを抽象化して量子アルゴリズムの開発を簡素化するなどの機能を提供する「IBM Qiskit Functions Catalog」

なお、同社では、ユーザーは今後、これらの機能を利用して、量子コンピュータが材料、化学、生命科学、高エネルギー物理学といったさまざまな科学的問題にどのように取り組むことができるかについての探求を広げることができるようになると説明している。