NTTドコモ(以下、ドコモ)は11月7日、2024年度第2四半期の決算説明会を開催した。2024年度上期の営業収益は474憶円増(+1.6%)の2兆9938憶円、営業利益は274憶円減(-4.7%)の5533憶円となった。
営業収益は第1四半期の191憶円増と比較して、第2四半期が283憶円増と増収幅が拡大。このトレンドを維持しつつ、さらなる増収を目指すとしている。特にスマートライフ事業で金融・決済が888憶円増と、大きな伸びを見せた。コンシューマ通信事業ではモバイル通信サービスが収入減となった。法人事業はPSTN(Public Switched Telephone Networks:公衆交換電話網)マイグレーションの影響を受けたが、オーガニックの成長でカバーし結果的に4億円の減少にとどまった。
一方の営業利益は対前年で減益となった。しかし減収幅は第1四半期の173憶円減から第2四半期では101憶円減と縮小しており、これから下期の増益へ反転を狙う構え。コンシューマ通信でモバイル通信サービスの収入が減少したほか、顧客基盤の強化に向けた販促の強化など投資の影響を受けた。
コンシューマ事業はスマートライフがけん引、新dカードを発表
コンシューマ事業におけるスマートライフ領域は、金融、マーケティングソリューション、エンタメなどすべての領域で増収となった。特に金融・決済が拡大し、2023年度にはマイナポイント収入といった特殊な要因はあったが前年比で341憶円の増益だ。
dカードの会員数も順調に増加しているという。24年度上期で1809万人に達し、うち1100万人がdカードGOLD会員。また、決算発表と同日にプラチナカードの提供開始も発表。11月25日より提供を開始し、年間で前年比20%以上の増収を目指すとしている。将来的には100万人超の加入を目標としている。
マーケティングソリューション領域では、マーケティングのDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援する既存事業が成長したほか、インテージを成長ドライバーとした増収を実現するなど、両社のシナジーも発揮している。
コンシューマ通信事業はeximoへの移行を促進したことで、前年のirumo加入者増による値下げの影響が低減したという。量販店での販売人員拡大、複合商業施設への出張イベント強化、ドコモショップにおけるサービスミックス提案の強化など、特に若年層をターゲットとした顧客獲得に注力。MNP(Mobile Number Portability)乗り換えが増加したとのことだ。
こうした施策の結果、ARPU(Average Revenue Per Use:1契約当たりの平均単価)は下げ止まりを見せ、eximo移行率は前倒しで達成。移行後の単金は全プラン平均で前年比40円~140円の増加となった。
法人向け事業は前年並みで着地
法人向け事業はPSTNマイグレーションやNTTグループ向けのシステム導入といった一過性の要因などもありながら、統合ソリューションなどがオーガニックで成長し、結果として4億円減で落ち着いた。
大企業向けには、コミュニケーションSaaSやクラウドを中心にコンタクトセンターソリューションが拡大。デジタルBPOの関心も高まっているという。また、SASE(Secure Access Service Edge)やマネージドセキュリティなども好調とのことだ。
代表取締役社長の前田義晃氏は「引き続き、モバイルや生成AIなどの要素技術を各ソリューションに取り込むことでDX支援をはじめとするビジネスの拡大を目指す」と説明した。
中堅中小企業向けでは、業務や業界ごとのニーズに応じたパッケージサービスが拡大した。スマートフォンの内線化による連絡効率化や通話コストの削減といったコミュニケーションパッケージのほか、運輸業向けの配車計画システムなど業種特化のパッケージで中堅中小企業のDXを支援する。
「今後は運輸、製造、建設など業界別や、経理、マーケティングなど業務別の課題を解決するパッケージサービスの提供を強化する」(前田氏)
ネットワークで通信品質の強化を促進
モバイルネットワークについては、都市部を中心にSub6エリアの拡大を図る。また、4G周波数の転用による5G新設エリアを拡大し、さらに厚みのあるネットワークを実現するとしている。
2025年3月までに1都3県では、Sub6基地局数が30%増加(2024年3月比)、4G周波数による5G基地局数を40%増加(同)するとのことだ。さらに、東名阪エリアを中心とする主要都市部においてはSub6基地局数90%増(同)、主要鉄道導線のSub6基地局数70%増(同)を目指す。
これまでに、渋谷駅周辺で平均スループット(ダウンロード)が約10%向上したほか、大阪駅周辺では約20%向上、名古屋駅周辺では約40%向上しているという。山手線沿線エリアでも約20%向上している。
ブランドスローガンを刷新
さらに、新たなブランドスローガン「つなごう。驚きを。幸せを。」も発表された。また、グループビジョンも刷新し「テクノロジーと人間力で新しいつながりを生み、心躍る価値創造で、世界を豊かに、幸せに。」としている。
前田氏は「ここでの『つなぐ』は単に情報の伝達だけを意味しているのではない。家族や仲間と大切なものを共有して絆を強めること、異なる価値を組み合わせて新たな価値を生み出すこと、それらすべてを含めて『つなぐ』と表現した」と説明。
さらに続けて、「ドコモグループは単に情報を伝えるという意味の『つなぐ』を超えて、生活者や法人、さまざまなコミュニティ、パートナー企業の皆様と共に、つなぐことの価値を創造し、豊かな社会の実現に貢献したい」と語っていた。