第一三共ヘルスケアは、トラネキサム酸を配合した製剤に関する臨床試験を実施した結果、トラネキサム酸が皮膚の角層水分量を増加させることを確認したと発表した。
トラネキサム酸は、出血を止めたりアレルギー反応や炎症反応を抑える作用があり、現在では後発医薬品も登場しているほか、薬局などで購入可能なOTC医薬品や薬用化粧品などにも配合されるなど、幅広い分野で活用が進められている。第一三共ヘルスケアでは、第一三共の全身の1つである第一製薬が開発した成分であることもあり、開発メーカーとしての知見を活かすべく、さまざまな可能性に期待し、皮膚への作用についての研究を進めてきたという。
今回の研究では、そうしたトラネキサム酸の新たな作用の調査として、40~60代の健常な日本人女性を対象に12週間の臨床試験を実施したという。
具体的には、被験者の顔の左右にトラネキサム酸配合製剤(製剤A)と水を用いたプラセボ製剤(製剤B)を塗布し、塗布開始から4週後、8週後、12週後の角層水分量の変化の比較を実施。その結果、いずれの期間においても、製剤Aの使用部位の方が製剤Bと比べて角層水分量の値に有意な増加が認められたという。研究チームでは、この結果について、トラネキサム酸の配合により、より高い保湿効果が得られることが示唆されたとしている。
なお、研究チームでは、今回の成果については未解明の部分が多く残されていることから、今後もトラネキサム酸の作用およびそのメカニズムの解明に向けた研究を進めていくとしているほか、そうした研究を通じて得られた成果を応用していくことで、今後も美しい健やかな肌に導く製品の開発につなげていきたいとしている。