ルネサス エレクトロニクスは10月31日、2024年第3四半期(7-9月)の決算概要を発表した。

それによると売上高は前年同期比9.0%減、前四半期比3.8%減の3453億円、営業利益は前年同期比34.5%減、前四半期比12.4%減の984億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は前年同期比25.9%減、前四半期比12.4%減の860億円となったという。同社は2024年8月1日付でAltiumの買収を完了しており、同四半期の8月ならびに9月分のAltium事業の収益が加算された形のものとなっている。この分を除くと売上高は3374億円となり、同社の事前ガイダンスの予想額の下限を下回るという。

  • ルネサスの2024年第3四半期決算概要

    ルネサスの2024年第3四半期決算概要 (出所:ルネサス、以下すべて同様)

同社の取締役 代表執行役社長 兼 CEOを務める柴田英利氏は「第2四半期にブレーキを踏んだが、踏み込みが甘かったという認識。最終市場の需要が想定を上回って弱含み、チャネルの在庫が想定よりも増えた」と第3四半期の業績を分析しつつも、「第2四半期は反省の決算と言ったが、第3四半期は落ち着いて先を見据えた取り組みに舵を切っていくターム。自動車分野は年間を通して成長していることもあり、長期的課題に丹念に向き合っていく」とし、数値的には軟調となっているが、決して悪い状況が続くわけではなく、今後の成長に向けた取り組みを進めていくことを強調した。

在庫調整を目的に工場稼働率が40%半ばまで低下

セグメント別で見た自動車向け事業の売上高は前四半期比2.6%減の1855億円、売上総利益率は同1.7ポイント減の52.1%、営業利益率は同2.3ポイント減の30.6%としている。一方の産業・インフラ・IoT向け事業の売上高は前四半期比4.8%減の1852億円、売上総利益率は同0.3ポイント増の60.6%、営業利益率は同1.7ポイント減の26.6%としている。

  • 事業セグメント別の業績概要
  • 事業セグメント別の業績概要
  • 事業セグメント別の業績概要

また、同社第3四半期の利益を押し下げた主な要因は為替の影響と在庫調整を目的とした工場稼働率の減少を挙げている。在庫調整については、第3四半期中から工場稼働率を引き下げる生産調整を開始し、第4四半期の見通しとしても自社工場での生産調整を継続させるほか、ダイバンクの圧縮も実施するとしている。販売チャネルの在庫については、自動車は増加した一方、産業・インフラ・IoTでは減少したとのことで、第4四半期については在庫の削減に向けたブレーキをさらに踏むということを想定しているという。特に自動車関連は、2023年末までに一度終えたが、その際は40nmマイコンを中心に供給がタイトとなったことから、2024年上半期に40nmマイコンを中心として在庫の拡充を進めたものの、日本ならびに欧州での自動車市場の軟化が見込まれることから、在庫の削減を決めたとしている。

このため、6インチ、8インチ、12インチいずれの自社保有工場の稼働率も大きく低下。トータルの工場稼働率は見通しよりも若干弱い40%半ばでの着地となったが、第4四半期にさらなる在庫調整を進めるため、稼働率は平均30%程度まで低下する見込みだとするほか、後工程での調整も実施する予定だとしている。

  • 自社工場の稼働率推移

    自社工場の稼働率推移

第4四半期も減収減益を見込むもAltiumとのシナジー発揮に期待

ルネサスでは第4四半期の業績予想として、売上高を前年同期比23.1%減±2.1ポイント、前四半期比19.3%減±2.2ポイントの2785億円±75億円としている。押し下げ要因としては円高(1ドル=145円想定)の他、チャネル在庫の削減などを挙げているほか、一部の部材に品質トラブルが発生し、納入遅延が発生しており、製品の供給に影響が出ていることなども含んでいる。ただし、この遅延の影響については2025年第1四半期までに解消できる見込みだとしている。

  • 2024年第4四半期および通期の業績予想

    2024年第4四半期および通期の業績予想

一方、Altiumについては売上高の押し上げ要因となるほど事業は堅調に推移しており、すでにコストシナジーの発現が見えているとするほか、売り上げシナジーの創出に向けた準備も進むなど、買収によるプラスの影響が徐々にでてきており、今後の成長が期待できるとしている。

  • Altiumの買収概要

    Altiumの買収概要